育成就労制度で変わる農業現場 転籍解禁と日本語教育確保が新たな課題に

(※本記事は「JAcom 農業協同組合新聞」に2026年4月23日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)

農中総研は4月22日、外国人技能実習制度に代わり2027年4月に施行が予定されている育成就労制度のウェブセミナーを開いた。2月に同制度の運用要領が公表されたことを受け、制度の全体像やスケジュール、農業分野のポイントや留意点を解説した。

農中総研の石田一喜主事研究員は「農業分野における育成就労制度のポイント」をテーマに、農業労働力が直面する現状と制度上の論点を解説した。

育成就労・技能実習・特定技能の関係
育成就労・技能実習・特定技能の関係

育成就労法(「外国人の育成就労の適正な実施及び外国人の育成就労制度による人材育成その他の外国人の保護に関する法律」)は2024年6月に成立・公布された。2027年4月施行に向け、2025年に基本方針や施行規則が定められ、2026年1月の分野別運用方針の閣議決定、2月の運用要領公表と段階的に詳細が固まっている。農業分野においては、他分野よりも厳しい独自の要件を課す「上乗せ基準告示」も2026年4月に公表された。

本人意向の「転籍」が可能に「転籍」の条件

「転籍」の条件
「転籍」の条件

外国人受け入れの大枠は技能実習制度を踏襲し、監理支援機関(監理団体から名称変更)のもとで計画に基づき技能修得を目指して育成を進める点は技能実習制度と同様だ。農業分野も対象分野に含まれ、派遣形態での雇用もできる。

また、新制度の大きな変更点である「転籍」については、育成就労制度では「やむを得ない事情がある場合」と「本人意向」の二つが認められる。「やむを得ない事情がある場合」の転籍は、技能実習制度と同様の枠組みが引き継がれるが、今回新たに「事前に説明された雇用条件と実態が異なる場合」も含まれることになり、雇用条件の事前説明のあり方が実務上の重要な論点となる。

「本人意向」による転籍の場合は同一の業務区分内で就労先の機関を変えることが基本とされており、引き抜き防止策・転籍制限年数・地方への配慮方法が施行規則等で明確化された。技能実習制度では「本人意向」による転籍は厳しく制限されていたが、育成就労制度では可能となった。ただし、実際には引き抜き防止策によって当初の想定より大規模な転籍は生じにくい仕組みになっている。

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