日本通信 デジタル時代の信頼のベース構築をテーマにイベントを開催

日本通信は、2026年7月28日と29日に「第1回 FPoS Developers Conference 2026」を開催した。日本通信は、スマートフォンに守られた秘密鍵と、マイナンバーカードによる身元確認によって、「誰がその情報を発信したのか」「その情報は本当に正しいのか」を証明するデジタル認証基盤「FPoS(Fintech Platform over Security module)」を開発した企業。カンファレンスの開会にあたり、日本通信の福田尚久社長は「多くのフェイクニュースが流れ、インターネット上の情報が正しいかよくわからないということが起きている中で、今回は信頼、トラストをテーマにしてイベントを開催することにした。特に、FPoSによる社会に対する効果をビジネス面、扱い方という面にフォーカスする」と紹介した。

イベントのテーマは、「デジタルに、信頼を取り戻す。」。28日には、台湾のエシカルハッカー、オードリー・タン氏による基調講演のほか、片山さつき財務大臣兼金融担当大臣、國領二郎慶應義塾大学名誉教授・共愛学園前橋国際大学デジタル共創研究センター長、福田社長によるパネルディスカッションなどを実施した。

タン氏は、設計段階から組み込まれた信頼性(Trust by Design)はインターネットがまだ完成させていない機能であると指摘した。信頼には双方向の情報のやり取りが必要だが、現在のインターネットのリンクは一方通行であり、出典を欠いた情報が出回ることにつながっている。同氏は「説明責任」の重要性についても言及した。これは、システム自体に誤りがある場合の責任の所在、それに対してだれが異議を唱えるか、そしてそれをどれほどの速さで修正できるのか、ということだという。また、台湾のデジタル担当大臣を8年務めた経験から、タン氏は、システムに対する信頼はそのアーキテクチャ(設計)に組み込まれ、双方が検証できるものでなくてはならない、と話した。市民が行政機関を監視するだけでなく、行政側も市民に対してその活動内容を透明かつ理解可能な形で示すことが求められる。今、活用が広がりつつあるAIエージェントについては、認証情報をコンピュータのスピードで扱っていくことになるため、すべてのタスクの委任への署名や取り消し可能な範囲の指定、それに人間が読める取引の領収書がいる、と指摘した。


基調講演をするオードリー・タン氏

パネルディスカッションでは片山大臣は、AIの高度化の中で、システムの脆弱性から金融システムを守るための各国政府・AI企業による取組、地域の中でデータ・資金を循環させるために必要な新しい地域通貨への期待などを語った。「政府のデータは地域経済分析システム(RESAS)として利用可能になっており、そこにさらに金融機関が独自に持っているデータを組み合わせることで、地方創生はさらに上のレベルに行くことができる。AIを活用した与信の高速化、融資の合理化は、銀行だけでなく地域の小規模なベンチャー企業にとっても利益になる」などと話した。

FPoSは開発に際し、金融庁が2017年から運用を開始した「FinTech実証実験ハブ」を利用した。FPoSはマイナンバーカードを用いて確実な身元確認を行った上で、利用者のスマートフォン内蔵のHSM内で秘密鍵の生成・電子証明書の発行を行うことで、「なりすまし」などの被害を回避できる。2021年にはスマートフォンに搭載する電子証明書として初めて、電子署名法に基づく認定を取得した。めぶくグラウンド(前橋市)が提供するめぶくIDとめぶくデータ連携基盤として、前橋市他様々な地域で活用されている。


片山大臣、國領氏、福田氏によるパネルディスカッションでは、「信頼」をシステムの中に実装する金融・データのインフラについて議論した