「AI時代」見据えた国家公務員の人材改革プランを公表 生成AI活用・採用強化を柱に

内閣官房内閣人事局は2026年7月28日、「人口減少社会×AI時代の行政を支える人材改革プラン(国家公務員バリューアッププロジェクト)」を公表した。少子高齢化と生産年齢人口の減少、そして生成AIの急速な普及という2つの大きな変化を背景に、行政サービスの持続可能性を確保し、公務を「選ばれる仕事」へと転換することを狙う。

既存の人事施策を着実に進めるだけでなく、優先度の高い課題への追加対応を打ち出した。改革プランは、(1)人材のための共通基盤の確立、(2)人材の確保、(3)働きがいの向上、(4)多様な人材の活躍、の4点で構成される。それぞれにKPI(重要業績評価指標)を設定し、2026~2030年度にかけて段階的に実施していく。

(1)では、AI技術の進展と「人とAIの協働」による新たな社会の到来を前提に、国家公務員に求められる人材像やスキル、育成・マネジメントの在り方を検討・整理するとした。国の行政機関ではすでに生成AI「源内」の活用が始まっており、仕事の在り方そのものの変革が迫られているとの認識を示している。

この検討を担うのが、新たに設置される「AI時代の国家公務員の在り方に関する検討会」だ。座長には梅崎修・法政大学キャリアデザイン学部教授が就き、企業経営者や研究者ら6名で構成する。第1回会合を8月17日に開き、計5回程度の議論を経て2027年1月をめどに知見を取りまとめる。論点には、AIが行政業務に与える影響や人とAIの役割分担、AI時代の意思決定の在り方などが挙げられている。

このほか共通基盤として、各府省が求める人材像・スキルを具体化する「人材フレームワーク」の構築支援や、デジタル庁・人事院と連携した「人事管理支援共通プラットフォーム」の整備も進める。紙や府省ごとの個別システムに分散していた人事情報を一元的に蓄積・管理し、勤務時間管理機能を2027年度から一部の先行する府省で運用開始する予定だ。

(2)の「人材の確保」では、採用力の強化を打ち出した。国家公務員採用試験の申込者数は近年やや持ち直しているものの、長期的には減少傾向にある。総合職はピーク時から約26%、技術系(一般職・大卒)の合格者数も約34%減少しており、危機感は強い。

新卒採用では、民間の就職活動の早期化を踏まえ、高校生や大学1・2年生といった志望者となり得る層への早期アプローチを強化する。府省の職員が高校を訪問して直接公務の魅力を伝える取り組みを2026年度に試行し、2027年度から全国展開する。中途採用では、増加する選考採用(近年で約2.2倍)について、府省が個別に行っている公募情報の合同広報や外部媒体の活用で認知度向上を図る。合格者が採用予定数に届かない状況が続く技術系職種では、応募を待つのではなく求職者に働きかける「ダイレクトリクルーティング」も試行する。

(3)では、職員の働きがい向上に取り組む。職員アンケートでは、入省から一定期間が経過した30代で成長実感やフィードバックの実感度が相対的に低下していることが判明。上司の対話型マネジメント力を高める研修や、キャリア自律を支援する仕組みを通じて改善を目指す。

(4)「多様な人材の活躍」では、育児・介護などの事情を抱える職員のニーズや人手不足に対応するため、人事院と連携して2030年中に短時間勤務の拡大など制度的措置の結論を得る。あわせて、現在引上げ中の国家公務員の定年の年齢が2031年度に完全に65歳となることを見据え、60歳超職員の給与を原則7割とする措置や役職定年制、65歳以降の任用の在り方を一体的に見直し、2030年までの国家公務員法などの改正を目指すとした。

プランには、2026年7月8日に12省庁の20~30代の若手職員約40名が参加したワークショップの意見も反映されている。参加者からは「自分の仕事が成長につながっていると実感できることが重要」「5年後、10年後を見通せるキャリアの予測可能性を高めてほしい」といった声が上がったという。