経産省、熊本地震で無担保100%保証など

経済産業省は2026年7月29日、令和8年熊本地震で被害を受けた熊本県内の中小企業・小規模事業者を対象に、資金繰り支援を柱とする緊急措置を発表した。熊本県の10市10町1村に災害救助法が適用されたことを受けた対応で、相談窓口の設置から融資、信用保証、既往債務の条件緩和、共済制度の貸付まで、5本の柱で事業の立て直しを後押しする。

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対象となるのは、熊本市、八代市、水俣市、山鹿市、菊池市、宇土市、上天草市、宇城市、天草市、合志市の10市と、美里町、大津町、菊陽町、西原村、御船町、嘉島町、益城町、甲佐町、氷川町、芦北町、津奈木町の10町1村である。これらの地域はすでに災害救助法の適用対象となっており、被災した事業者はいずれの支援策も利用できる。

特別相談窓口を全国機関に設置

第一の柱は特別相談窓口の設置だ。日本政策金融公庫、商工組合中央金庫、熊本県信用保証協会、県内の商工会議所や商工会連合会、中小企業団体中央会、よろず支援拠点、全国商店街振興組合連合会、中小企業基盤整備機構九州本部、九州経済産業局といった関係機関がそれぞれ窓口を設け、資金繰りや事業再建の進め方について幅広く相談を受け付ける。地震発生からできるだけ早い段階で窓口を稼働させることで、被災した事業者が必要な支援策に迷わずたどり着けるようにする狙いがある。

日本公庫・商工中金が復旧貸付

第二の柱は災害復旧貸付の実施である。日本政策金融公庫は、国民生活事業で融資限度額3000万円、中小企業事業で1億5000万円の別枠を設け、被災事業者に運転資金や設備資金を融資する。金利は2026年7月1日時点、貸付期間5年の場合で国民生活事業が2.60%、中小企業事業が2.65%となっている。融資期間は原則10年以内(据置2年以内)で、中小企業事業の設備資金は15年以内(据置2年以内)とする。商工組合中央金庫も同様の貸付を実施し、被災事業者の資金繰りを支える。

セーフティネット保証4号を適用

第三の柱がセーフティネット保証4号の適用だ。地震や噴火、台風など突発的な災害で経営に支障が出ている中小企業者に対し、信用保証協会が融資額の100%を保証する制度である。直近1か月の売上高が前年同月比で20%以上減少し、その後2か月を含む3か月間も20%以上の減少が見込まれる事業者が対象で、市区町村長の認定を要する。保証限度額は普通保証2億円以内、無担保保証8000万円以内を通常枠とは別枠で追加利用でき、第三者保証人は原則不要だ。熊本県信用保証協会ではすでに事前相談を受け付けている。

既往債務の返済条件を緩和

第四の柱は既往債務、つまり地震前から抱えている借入金の返済条件緩和である。経済産業省は日本政策金融公庫、商工組合中央金庫、信用保証協会に対し、返済猶予などの条件変更や貸出手続きの迅速化、担保徴求の弾力化について、被災事業者の実情に応じて対応するよう要請した。新たな融資を申し込まなくても返済負担を一時的に抑え、手元資金を確保できる点で即効性のある支援策となる。既存の返済に追われている事業者ほど、恩恵を受けやすい措置といえる。

小規模企業共済に災害時貸付

第五の柱は小規模企業共済の災害時貸付だ。対象は50万円以上の借入限度額を持つ契約者のうち、事業所や資産が全壊・流失・半壊・床上浸水の被害を受けたか、売上高が前年同月比で減少見込みの者で、商工会等の証明を要する。借入限度額は納付済掛金の7〜9割相当額(50万円以上5万円単位)と1000万円のいずれか少ない額とし、500万円以下は36か月、505万円以上は60か月、6か月ごとの元金均等返済とする。金利は2026年7月29日時点で年0.9%、担保・保証人は不要だ。窓口は商工組合中央金庫で原則即日貸付が可能だが、取扱期間は災害発生から6か月以内に限る。

今回の一連の措置により、地震で売上や設備に打撃を受けた熊本県内の事業者は、運転資金の確保から既存借入の条件変更まで、幅広い選択肢の中から自社の状況に合った支援を選べるようになる。詳細は経済産業省公式ホームページへ。