東京都つながり創生財団 多文化共生・共助社会への施策

一般財団法人「東京都つながり創生財団」は、多文化共生や共助を推進するための様々な施策を行っている。「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」で機運が高まったボランティア文化をレガシーとして定着させ、外国人も日本人も暮らしやすい、インクルーシブな社会を築くことを目指す。

東京都つながり創生財団は2020年10月、東京の活力の源泉である「人」と「人」をつなぎ、地域コミュニティの活性化を支援する団体として、東京都によって設立された。「様々な人が安心して暮らせる多文化共生社会づくり」と「相互に助け合う共助社会づくり」が、財団の2つの大きな目的になっている。

マリ・クリスティーヌ 一般財団法人東京都つながり創生財団 理事長

東京2020大会のボランティア文化を
社会に定着させる

「当初は東京2020大会で大勢のボランティアの方々に参加していただき、その開催後に財団が設立される予定でした。しかし、コロナ禍で大会が2021年に延期され、ボランティアの方々がいない中、先に財団が設立されることになりました」。一般財団法人「東京都つながり創生財団」理事長のマリ・クリスティーヌ氏は、その設立を振り返る。

マリ・クリスティーヌ氏は、「東京2020大会では非常に多くの方々がボランティアを希望されていました。大会は残念ながら無観客となり、ボランティアの方々に活躍していただける場は限られました。しかし、財団では大会で高まった機運を拡げ、ボランティア文化をレガシーとして定着させようとしています」と説明する。

コミュニティを活性化し
多文化共生や共助を推進

東京都内在住の外国人は2022年1月には51万人を超え、その国籍は多様化している。同じ国から来日した人々で形成されているコミュニティも多く存在するが、日本人との交流を十分に持てず、孤立してしまうこともある。都では2016年に「東京都多文化共生推進指針」を策定し、多文化共生社会づくりを推進してきた。さらに財団を設立したことで、都内の区市町村や地域の国際交流協会、外国人支援団体などとの連携を強化し、ノウハウの提供や共有を通じて都全域で在住外国人の支援を充実させていく方針だ。

また、周囲に頼れる人がおらず、困難を抱えるのは外国人だけではない。「日本人の中にも困っている方々は、沢山いらっしゃいます。核家族化が進んでコミュニティは希薄になる中、例えば、困った時も頼れる人がいない高齢の方々が増えています」。

このような中、財団では、行政にはない発想や新たな支援を取り入れ、都内のコミュニティを活性化する媒介者になろうとしている。そして外国人だけでなく、多様な日本人も含めたインクルーシブな社会を作るため、多文化共生や共助推進への施策を進めているところだ。

2020年の財団設立後は、新型コロナウイルス感染症(COVID‑19)への対応やワクチン接種、そして軍事侵攻が続くウクライナから避難してきた人々への支援など、緊急性が高い重要案件が続いた。このような中、財団ではまず都内在住の外国人と日本人の双方に、必要な情報をいち早く正確に伝えられるよう努めてきた。

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