ソニーのデザイン経営戦略 インハウスデザインの新たな在り方

今年60周年を迎えたソニーのクリエイティブセンターは、ソニー外の展開を目的に、昨年4月に新会社ソニーデザインコンサルティングを発足させた。デザイン経営時代におけるインハウスデザインの新たな在り方を示す同社のビジョンや戦略を、長谷川豊社長らに聞いた。

長谷川 豊 ソニーデザインコンサルティング 代表取締役社長

ソニーといえば、言わずと知れた日本のデザインを牽引してきた唯一無二の企業だ。デザインの重要性をいち早く認識し、東京通信工業からソニーに改称した3年後の1961年に、デザイン室(現在のクリエイティブセンター)を設立。昨今の言葉を使えば「デザイン経営」を、60年間に渡り脈々と実践してきた。

現在のソニーは、エレクトロニクスだけでなくゲームや映画、音楽、金融などに事業ドメインを拡張し、それと共にデザインのフィールドも変わってきた。ある意味、ソニーデザインの歩みを辿れば、日本のデザインの変遷がわかり、同時に企業経営におけるデザインの役割の変移も知ることができる。

そうしたソニーのクリエイティブセンターが、新会社ソニーデザインコンサルティングを発足させて1年半となる。2014年からデザイン業務を限定的に外販していたが、新会社により企業、行政、教育機関等にソニーデザインで培った様々なソリューションの提供が可能となった。今春からソニーグループに商号を変更し持株会社に移行したが、同社は組織図ではファーストレイヤーに位置することからも、グループにおける重要度の高さを示している。

ソニーデザインのフィロソフィーは「Create New Standard」だ。その具体例は、トランジスタラジオ、ウォークマン、AIBOなど枚挙に暇がない。商品に限らず、常にデザインの可能性を開拓し続け、新たな価値の「原型」 も創造してきた。

代表取締役社長の長谷川豊氏は言う。「このフィロソフィーは、当社も継承しています。つまり新事業の創出だけでなく、社会課題の解決や文化的価値の創造においてもスタンダードをクリエイションするのが発足の目的です。従来からソニーデザインは事業の川上から関与してきましたが、そのノウハウを活用し、アウトプットだけなくクライアントと寄り添いながら、本質部分をサポートしていきます。デザイン部門を分社化する例は他社にありますが、ここが大きな違いです」

続けてシニアマネージャーの江下就介氏は「そして掲げたスローガンが『DESIGN SHIFT』です。既存の概念や思考に対して、デザインを活用することで様々な物事をシフトさせていきます。シフトさせる対象には、従来の“デザイン”の考え方をも含みます。ビジネスにおける効果を示すことで、デザインの認識や役割自体をシフトさせていきます。また、デザインはあらゆる場面で活用されるべきものだと思っていますので、私達は『デザインをあらゆる人のものに』と捉え、デザインがより身近なものになる世界を目指します」と話す。

スローガンとして「DESIGN SHIFT」を掲げる

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