再エネ×マルチモビリティシェア ゼロカーボンシティ実現に貢献

SBテクノロジーとOpenStreetは、自治体における運輸部門の脱炭素への貢献を目指す事業を展開している。新サービスの「グリーンモビリティデータプラットフォーム」では、再エネ由来の電動自転車や電気自動車(EV)などのシェアモビリティを活用するための行動変容を促す。

2021年6月の改正地球温暖化対策推進法施行や、環境省による「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金」、「脱炭素先行地域」選定などの施策が進む中、2050年の二酸化炭素(CO2)実質排出量ゼロに取り組む「ゼロカーボンシティ」を宣言する自治体は増えている。

ステーション数で国内1位の
シェアサイクルプラットフォーム提供

このような中、ソフトバンクグループのSBテクノロジー株式会社(以下SBテクノロジー)と OpenStreet株式会社(以下OpenStreet)は、自治体における運輸部門(モビリティ)の脱炭素への貢献を目指す事業を進めている。OpenStreetは、IoT(モノのインターネット)を活用した自転車シェアリングのプラットフォーム「HELLO CYCLING」を提供。そのステーションは現在、東北から沖縄まで250以上の市区町村に展開し、5000ヵ所以上(2022年7月現在)に増加、国内No.1ステーション数を誇るシェアサイクルサービスとなっている。SBテクノロジーはソフトバンクグループの中で、ICTサービスビジネスを担っている。自治体との取り組みでは、これまでも自治体情報セキュリティクラウドの提供などを行ってきた。

SBテクノロジーの佐藤翼氏は、両社の役割分担についてこう語る。「ゼロカーボンシティへの貢献では、OpenStreetはシェアモビリティのアプリケーションやプラットフォームの提供を通じて市民の行動変容を促す役割を担います。SBテクノロジーは、クラウドでCO2排出量や削減量の可視化、予測を行っていきます」。

SBテクノロジー サービス統括 ビジネスイノベーション本部
佐藤 翼

21年度は4自治体でCO2
排出・削減量可視化の実証も

ゼロカーボンシティへの貢献では、SBテクノロジーは2021年度、内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」の実証を行った。この実証では、福島県会津若松市、茨城県水戸市、岐阜県多治見市、兵庫県加古川市の4自治体で、分野を超えてデータの発見と利用ができる仕組み「CADDE(ジャッデ)」を使って多様なデータを収集し、CO2の排出量/削減量を可視化した。

具体的には、自治体が保有するEV公用車の電力消費量やソーラーカーポートの再生可能エネルギーによる発電量など多様なデータをCADDEで収集し、可視化する環境を構築した。この実証にはOpenStreetなどの企業も、パートナーとして参加した。

一方、OpenStreetは、ソフトバンクの社内起業制度で始まったシェアサイクル事業を基に、2016年11月に設立された企業だ。現在は「HELLO CYCLING」のほか、スクーターや小型EVシェアの「HELLO MOBILITY」、駐車場シェアの「BLUU」という3つのブランドでシェアリング事業を展開している。

マルチモビリティステーションのイメージ図。将来は、再生可能エネルギーで動く様々なモビリティを集めたステーションで需要に応じる考えだ

OpenStreet広報の尾崎梢氏は、「シェアサイクルの普及には、2017年に施行された『自転車活用推進法』が大きく寄与しています。また、その普及促進では自治体との連携が不可欠で、現在、連携を通じて多くの地域でシェアサイクルが移動手段として浸透しつつあります」と話す。OpenStreetでは、他にも自治体が取り組むスマートシティなどのデータ連携で寄与しているほか、交通環境の改善に役立つデータの提供も行っている。

OpenStreet 広報 尾崎 梢

「地域のバス停と鉄道駅の徒歩圏を可視化し、そこにシェアサイクルステーションを反映させて、交通空白地の補完に役立つステーション展開をしています。また、シェアサイクルのあり方などでも自治体と協議しています」(尾崎氏)。

「グリーンモビリティデータ
プラットフォーム」を開始へ

SBテクノロジーとOpenStreetの両社は、今後のゼロカーボンシティへの貢献で、①再エネを活用したグリーンなシェアモビリティの導入、②シェアモビリティの活用促進(データ活用と行動変容)、③CO2排出量/削減量の可視化、という3つの点で取り組みを進めていく。

このため、現在、「グリーンモビリティデータプラットフォーム」という新たなサービスの提供を計画している。「2021年度まではシェアサイクルのデータとEVやソーラーカーポートのIoTのデータだけを取り込んで可視化していましたが、今年度からの新たなサービスでは自治体の要望を踏まえ、交通や人流のデータ、自治体の温暖化対策計画や電力・気象のデータ、これらのモビリティ関連のデータも取り込み、プラットフォーム上で管理・活用していきます」(佐藤氏)。

また、これらのデータについては、Webアプリケーションや現地に設置するデジタルサイネージ、市民への情報発信のサービスともつなぎ、自治体が活用していくことも想定しているという。佐藤氏によれば、プラットフォームでできることは、①モビリティ領域の脱炭素に関するデータの収集と統合、②自治体に関するデータの包括的な管理・分析、③外部のアプリケーションを作っているパートナーとのデータ連携、④データが貯まった段階における機械学習を使ったCO2排出量/削減量の予測やスコアリング、という4つにまとめられる。

さらに、このサービスの中でデータ活用したいと自治体から要望を受けている点は大きく2つあるという。第1に、シェアモビリティで使われている電源が系統電源でなく、再エネ由来で発電・消費されているかという点だ。第2に、運輸部門のCO2排出を削減するためには、再エネ由来の電源の交通手段にしていく、もしくはCO2排出量が少ない徒歩や自転車、バス、電車などの公共交通機関を使うことが重要になる。このため、それらの利用がなされているかどうかについても可視化していく方針だ。

「運輸部門でゼロカーボンシティへの貢献を目指すには、再エネを活用したグリーンなシェアモビリティの導入、それらを活用した行動変容、そしてCO2排出量/削減量の可視化で市民を巻き込みながら脱炭素に向けた施策を進めることが必要です。まずは自転車などの身近な交通手段の利用を促進し、再エネへの電源切り替えやEVなど活用手段を徐々に拡大させて、その実現に貢献していきます」(佐藤氏)。

お問い合わせ


SBテクノロジー株式会社
E-mail:sbt-ipsol@tech.softbank.co.jp
Web:https://www.softbanktech.jp/


OpenStreet株式会社
E-mail:pr@openstreet.co.jp
Web:https://www.openstreet.co.jp/

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