スーパーシティにおける観光 「シームレスな旅」の実現が課題

コロナ禍で大きな打撃を受けた観光・旅行産業。社会や価値観が変容するなか、注目されているのがトラベルテックだ。スーパーシティにおける未来の観光の在り方について、「観光・旅×ITテクノロジー」で、ニューノーマル時代のシームレスな旅の創造を目指す、エスビージャパン代表の中元氏に話を聞いた。

地域の課題を見極め、
目的ありきでデータ収集を

「トラベルテックでシームレスな旅を創造する」をコンセプトに、2007年に設立したエスビージャパン。自治体の観光や地方創生の支援にはじまり、自治体の様々な悩みを解決しながら事業を拡大してきた。全国の観光ニュースサイト「みんなの観光協会」や、グローバル観光ニュースサイト「Trip Trip GLOBAL」、地域創生×スタートアップの自治体アクセラレータープログラム「47Growth(ヨンナナ・グロース)」など、コロナ禍においても多くの新規事業に取り組んでいる。

同社代表の中元英機氏は、「各地域の観光地における共通の課題は、『レンタカーでしか移動できない』『新幹線から次の交通がない』といった二次交通、三次交通の薄さです。例えば、ある自治体で酒蔵巡りのツアーを計画しても、周遊するための交通手段がレンタカーしかないということも実際にあります。これでは本末転倒です」と語る。

中元 英機(トラベルテック協会 代表理事)

データ収集の視点で見るなら、新幹線の駅に到着した後の観光客の動きを上手く取っていくことが1つのポイントとなる。

「多くの自治体で様々な観光データを取られていますが、報告書を眺めているだけで、課題解決に活きているとは言えません。その大きな要因は、手段とゴールが逆転しているからです。データを見てから何をするのかを考えるのではなく、何かをするためにデータを取るという発想に転換する必要があります。データは、あくまで材料です。周遊を増やしたいからデータを取るならよいのですが、データを見てから周遊をどうするかを考えても、何も解決しません」

スーパーシティ・スマートシティというと「何ができるか」という技術に目が行きがちだが、データ収集の前に、自分たちの地域にはどのような課題があり、それを解決するためにはどのようなデータが必要なのかを見極めることが、まずは重要だ。

これからのトラベルテックの
カギは“シームレス”

一次交通から三次交通までのスムーズな乗換も含めて、
「シームレスに繋がること」がこれからの旅行業界の課題だ

トラベルテックの観点で言えば、コロナ禍でホテルでは無人フロントが増えたものの、タッチパネルの入力項目が多く、結果的に人が接客してチェックインした方が便利で早いといった声も多い。国内外の旅行会社がこぞって企画したオンラインツアーも注目されたが、現在のところ主流には至っていない。

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