デジタル田園都市国家構想交付金 構想の実現に向けた今後の支援

国の重要施策の一つである「デジタル田園都市国家構想」、通称「デジ田構想」。本構想の取組みを分野横断的に支援する今後の方向性について、内閣官房の担当に尋ねた。

※本内容は10月の取材時及び11月の構成時の内容になっているため、今後予算編成過程において、制度詳細、スケジュール等については変更となる可能性がございますので、予めご了承願います。

小野 康佑 内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局 参事官補佐

「デジタル田園都市国家構想交付金」として位置づけられることになったのは、地方創生推進交付金、地方創生拠点整備交付金、デジタル田園都市国家構想推進交付金の3交付金だ。内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局参事官補佐の小野康佑氏は、「この交付金は、デジタル実装を支援する『デジタル実装タイプ(仮称)』、中長期的な計画に基づき先導的な取り組みや施設整備等を支援する『地方創生推進タイプ(仮称)』、『地方創生拠点整備タイプ(仮称)』の3つのタイプに分けられます。各自治体のニーズに沿ったメニューを用意しています」と説明する。

図1 デジタル田園都市国家構想交付金の概要

これらのうち「デジタル実装タイプ(仮称)」は、デジタルを活用した地域の課題解決や魅力向上に向けて、地方公共団体に対し、事業立ち上げに必要な単年度の経費を支援するものだ。支援対象となる事業は、以下の3つの「TYPE」に分類される。

図2 デジタル実装タイプ(仮称)TYPE1/2/3等の全体像

まずTYPE1は「優良モデル導入支援型」で、他の地域等で既に確立されている優良なモデル・サービスを活用して迅速に横展開する取り組みを支援する。「TYPE1は他の自治体の優良事例をそのまま展開するもので、最も取り組みやすいTYPEです。国費は1億円、補助率は1/2となっています」。

TYPE2は「データ連携基盤活用型」で、オープンなデータ連携基盤を活用し、複数のサービス実装を伴うモデルケースになり得る取り組みを支援する。国費は2億円、補助率は1/2となっている。TYPE3は「マイナンバーカード高度利用型」で、TYPE2の要件を満たすことに加え、新規性の高いマイナンバーカードの用途開拓に資する取り組みを支援する。「TYPE3はマイナンバーカードの新規用途開拓も含めた複数要件を満たすことで、国費6億円、補助率2/3と最も手厚い支援が可能なメニューです」。

今までの活用事例
今後の新規要素

昨年度採択実績が最も多かったTYPE1の採択事例で特に多いのは、行政サービスだ。例えば、マイナンバーを活用したコンビニ交付や窓口来庁者が申請書を書く手間を省く「書かない窓口」がある。住民サービスの事例では、地域アプリによる情報発信、公共施設のオンライン予約などが挙げられる。他には、健康・医療分野で母子健康手帳のアプリ化やオンライン診療、教育面では、オンライン授業やデジタル教材の充実化を進める自治体もある。防災や交通・物流、農林水産、仕事・金融、観光・文化の領域でも様々な事業を採択している。

さらに次年度の新たな取り組みとして、これからデジタル実装に取り組もうとしている自治体の計画づくりを伴走支援する、「計画策定支援事業」も用意している。

「他にも新規要素として、マイナンバーカードの利活用の促進や、スタートアップの活用など国の重要施策をより推進する観点から、一定の優遇措置等を行う予定です」。

なお、都道府県は9事業、市町村は5事業を申請上限としている。

計画策定、申請のポイント

計画申請のステップは①解決したい地域の課題を特定する、②サービスの選定・実装の検討を行う、③事業組成・計画申請書作成を行う、という3つだ。計画申請のポイントは①効果の具体化・KPIの設定、②事業に求める要素の整理の2つ。

また申請書で注意が必要なポイントとしては①デジタルを活用したサービスが住民に裨益されることが特定できるようにする、②既に確立されている優良なモデル・サービスの横展開であることを明示、③適切なKPIの設定、④次年度以降の計画を明確にする、⑤計画・実行・評価・改善に関する「PDCAサイクル」を整える、といった点が挙げられる。

図3 計画申請書審査時のポイント

今後のスケジュール

(取材を行った10月から)11月にかけて、庁内調整や各種要件を策定のうえ、次回の申請に向けて周知を行っていく。具体的なデジタルサービスをまとめた事例集や、個別説明会の開催を予定するなど積極的に地域のデジタル実装を支援していく考えだ。

「12月上旬目途に募集の案内ができるように準備を進めています。申請の締切は2月上旬~中旬ごろを予定しており、審査のうえ、4月1日に交付決定を行う予定です。事前相談も受け付けており、地域のデジタル実装を一緒に進めていきたいです」。まだ活用実績のない自治体は特に活用を検討しておきたい。

図4 今後のスケジュール(仮)

 

お問い合わせ

内閣府地方創生推進室/内閣官房デジタル
田園都市国家構想実現会議事務局

MAIL:digitaldenen-kofukin.f7k@cao.go.jp

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