青森県のイノベーション施策 脱炭素で企業を呼び込む

風力発電などのエネルギー関連施設が集約し、グリーン関連産業創出の期待が高まる青森県。グリーンイノベーションを目指し、積極的な企業誘致を進めている。

河原木 尚克
青森県商工労働部産業立地推進課 課長

「人口減少をはじめ、地域課題が多くあるからこそ、それを克服するイノベーションが必要になります。そのための複数の対策を練っています」と青森県商工労働部産業立地推進課長の河原木尚克氏は話す。

対策の1つが、産業振興策だ。内発的な創業・起業と、外発的な企業誘致に積極的に取り組んでいる。「県内の創業者数は、5年ほど前には年間約100人だったものが、2022年度末には初めて200人を超え、人口増加や経済振興に役立っていると考えています」。

外発的な企業誘致に関しては、青森県の立地環境が重要なポイントだ。東北新幹線では東京まで3時間を切る距離。2つの空港を有し、3方が海に囲まれて海上輸送も発達している。青森県で最大のコンテナ積載量を持つ八戸港は今、モーダルシフトの点でも関心を集めている。また雪が多いというイメージがあるが、「実は、太平洋側はあまり降りません。津軽エリアは降りますが、その分、除雪体制が非常によく整備されており、雪のために道路が一日中通行不可というようなことは起こりません。また、台風・地震などの自然災害も少ないです」と明かした。

勤勉かつ実直な人材が豊富
県の手厚い支援も

青森県に立地を検討する企業にとって、もう1つの魅力が「人材」だ。

「全国と比較しても、離職率や転職率が非常に低いです。青森県民は、一つの場所で一生懸命働くという勤勉さがあるということだと思います。実際に立地された企業からも、そのような評価を得ています」と河原木氏。

加えて、大学の数と学生数は、東北6県で2番目に多い。「若くフレッシュな人材を確保できることも、企業にとっては有益だと思います。弘前大学は脱炭素にも関わる理工系に強く、また青森県には工学系の単科大学や多くの工業系高校もあり、専門的、技術的な人材を輩出できる素地があります」という。そのほか、求人倍率が全国と比較して低く、人材が採用しやすいとして立地する企業もあると話した。

また青森県は、立地企業に対し、人材確保に関して手厚い支援を行っている。立地企業は、求人広告を青森県の費用負担で希望の媒体に出すことが可能。さらに「青森県誘致企業ガイドブック」が、企業のPR媒体として県内のハローワークや学校等に配布されている。企業の求人活動のための学校への同行訪問といった伴走支援も提供している。

グリーン関連は
企業誘致の重点項目

すでに青森県に進出した企業は多い。大泉製作所は、EV関連の温度センサ等を製造。工程には職人技が必要な部分があり従業員の定着率が重要になる。検査工程などにおいても、粘り強さや真面目さが高品質なモノづくりを可能にしている。また、ソフトウェア開発と販売を行うAISでは、IT関係の人材確保において、青森県の支援もあり採用が非常にうまく進んだという。

今、青森県の企業誘致では5つの重点推進分野が掲げられ、この中には脱炭素と物流分野も含まれる。基幹港である八戸港と周辺にある臨海工業地帯では、カーボンニュートラル協議会も立ち上げられ、CO2ゼロへ向けた取組も始まっている。グリーン関連産業創出に益々期待が高まる青森県に、「ぜひ多くの企業に興味を持ってほしいと思います」と河原木氏は語った。

 

お問い合わせ

青森県商工労働部産業立地推進課
立地推進グループ
TEL:017-734-9381
MAIL:ritchi@pref.aomori.lg.jp
青森県産業立地ガイドURL:https://aomori-ritti-guide.jp/go-next/

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