好きなことを貫いて拓けた 「庭師」への道と日本人としての人生
氏名、村雨辰剛。職業、庭師。前作のNHK朝の連続テレビ小説では俳優としてその存在感を印象付けた。NHK「みんなで筋肉体操」で注目され、以来、多くのメディアで活躍するが、今も軸は「庭」。生まれ育ったスウェーデンから、寄る辺もない日本にひとりで渡り、ここまで切り開いてきた村雨のこれまでの道程は、その穏やかな佇まいからは想像だにしない、冒険の連続だった。
文・油井なおみ
好きという強い思いだけで
日本への移住を決意した十代
幼い頃から、やりたいことがはっきりしていた。今もそれは変わらない。
「自分の意志が明確にあって、納得いかないことには反抗する子どもでした。6歳くらいのころ、釣りに連れて行ってもらって、僕だけ釣れないということがあったんです。釣れるまでやるんだと言い張って、大騒動になったこともありました。家族からは『頑固者』と言われていましたが、わがままだったのかもしれませんね(笑)」
物心つく頃には、海外に出て生活すると決めていた。
「生まれ育った狭い環境から飛び出して、価値観の全く違う世界に飛び込んで自分を試したいと考えていました。先行きが安心なレールの上を進むより、先が見えない、冒険のような生き方が好きなんです。ただ当時は、どこの国へ向かうかまでは考えていなくて」
そんな村雨が日本という国と出会ったのは、学校での授業だった。
「世界史で日本について学んだのですが衝撃的で。世界から見たら唯一無二の文化。めちゃくちゃ興味を持ち、没頭したんです。別の国で暮らすという自分の夢とも重なりました」
高校時代は日本への留学を自ら模索。日本語を勉強する為に使っていたチャットで知り合った日本人がその若い熱意に心動かされ、3カ月間のホームステイを実現。実際に日本の文化に触れたことで、さらに思いは高まった。
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