「引きこもり」と「逆張り」から始まった、「好き」が導いた世界へ挑む創作の軌跡
千葉で引きこもり、難病を抱えながら、ルーマニアで小説家として活動を続ける済東鉄腸。極度の人見知りの彼がひたすらSNSで鍛えたルーマニア語と感性を武器に綴った日本の物語は、ルーマニアから世界の読者へと静かに広がっている。今も千葉の図書館で多言語を学びながら作品を紡ぐ済東の生き様は、多くの示唆を与えてくれる。
文・油井なおみ
済東 鉄腸(作家、映画ライター)
言葉に惹かれ映画に導かれ
絶望の日々からルーマニアへ
「物心ついた頃から、極度の人見知りで。とにかく、言い間違えるのが怖くて。授業中も当てられたらどうしようと不安で、腹痛を起こすような子でした」
友達はいるにはいるが、ごく最近まで人とのコミュニケーションが苦手だったと済東鉄腸は語る。
「会話はゼロか百。話さなきゃと思うと一方的に喋り続けて成立しない。自ずと一人遊びに向かっていきました」
幼少期から家にあった国語辞典や漢字辞典を読み漁り、小学生時代の将来の夢は「漢字博士」だった。
中学からは、夏目漱石や谷崎潤一郎に傾倒。『ジョジョの奇妙な冒険』や『BLEACH』など漫画にも夢中になり、漫画の影響でイタリア語も独学した。
「大学受験期には塾と同じビルの書店に立ち寄っては現実逃避。そこで映画雑誌と出会い、興味が湧きました」
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