AIが変えるロボットの世界 ヒューマノイドが存在感「国際ロボット展」過去最多出展

(※本記事は経済産業省が運営するウェブメディア「METI Journal オンライン」に2025年12月4日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)

国内外の開発企業が集まる「2025国際ロボット展(iREX2025)」が12月3日、東京ビッグサイト(江東区)で開幕した。2年に一度開かれる世界最大規模のロボット専門展で、2025年は過去最多の673社・団体が出展した。海外からは過去最大規模の140社・団体が参加し、AIを搭載したロボットを中心に各社が技術力をアピール。世界で競争が激しくなるロボット市場の“現在地”を示した。METIジャーナルでは、2025年国際ロボット展を写真中心に紹介し、その熱気をお届けする。

2025年国際ロボット展

AIロボティクスが席巻

「さまざまな社会課題を解決するためにロボット技術の役割は大きい。早急に開発が進むAI(人工知能)を含む技術革新を通して持続可能な社会を築き上げていきたい」。世界ロボット展を主催する一般社団法人日本ロボット工業会の橋本康彦会長(川崎重工業社長)は開会式で、こう強調した。開会式に参加した経済産業省の伊吹英明製造産業局長も「(国としても)世界をリードする、ロボット産業の競争力強化に向け、AIロボティクスの導入を促進していきたい」と語った。

次世代用途を見据えた展示続々

会場で多くの注目を集めたのは、大阪・関西万博で披露された総合重工メーカーの川崎重工が開発した人が乗ることを想定した4足歩行ロボット「CORLEO(コルレオ)」だ。険しい悪路でも移動が可能で、どんな人でも乗ることができる操縦性や安定性を売りにする。工場などの産業界でのロボット利用だけでなく、乗り物としてレジャーやエンターテインメント分野での活用も見込み、自社ブースのステージでプレゼンターとなった川崎重工の橋本社長は「大きな事業として育てていきたい」と、新市場創出に意欲を示した。

川崎重工が公開したコルレオ。奥は橋本社長
川崎重工が公開したコルレオ。奥は橋本社長

また、川崎重工はこの日、ヒューマノイドロボット「Kaleido(カレイド)」の最新バージョンも公開した。実演では生産ロボットへの指示出しから、ほうきでの清掃、災害現場を想定した場所での活動を再現し、人の「相棒」として細かい動きをしたり、人が踏み入れることが難しい危険な場所で作業したりできる次世代のロボットの世界を示した。

カレイドは、工場や日常での人との協働や遠隔操作での災害現場での救助活動も見据える
カレイドは、工場や日常での人との協働や遠隔操作での災害現場での救助活動も見据える

他のエリアでも、さまざまな企業が産業用ロボットからサービスロボットまで幅広いロボットの次世代像を表現した。

安川電機が出展した少量多品種に対応する産業用ロボット(左)とヒューマノイドロボット
安川電機が出展した少量多品種に対応する産業用ロボット(左)とヒューマノイドロボット

安川電機は、製造現場で生産性向上の課題となっている少量・多品種に対応し、多様な設計から製造に対応するロボットを紹介したほか、傘下に収めたヒューマノイドロボットを開発する早稲田大学発のスタートアップとともに、同社としては初めてヒューマノイド「Torobo(トロボ)」を出展した。オフィスの利用時間前にロボットが部屋を整える様子を再現し、工場以外の空間にもロボットがいる世界を表現した。

AIの利用を打ち出す企業も目立った。

産業用ロボットの最大手でもあるファナックは、米エヌビディアと協業してAIを実装したフィジカルロボットを公開した。人の音声で指示した色のサイコロを、指定された場所に動かし、人が近くにいると回避しながら作業を進めるなど、人とロボットが安心して協働できる環境を紹介する。ファナックの担当者は、「AIを使えば、さまざまな動作を指示しやすくなり、導入ハードルが下がる。中小企業をはじめ幅広い企業への導入につながる」と期待を寄せる。

ファナックが展示したエヌビディアと協業して開発したフィジカルロボットは、人との接触を回避しながら指示通りに作業を続ける
ファナックが展示したエヌビディアと協業して開発したフィジカルロボットは、人との接触を回避しながら指示通りに作業を続ける

海外勢、過去最大規模。世界競争は熾烈に

海外勢では、中国のスタートアップAGIBOT(エイジーアイボット)や韓国のヒョンデ(現代自動車)グループなどが初出展し、先進性で関心を集めていた。

海外勢のブースにも多くの人が訪れた。中央:機敏な動きで踊るAGIBOTが開発したヒューマノイドロボット
海外勢のブースにも多くの人が訪れた。中央:機敏な動きで踊るAGIBOTが開発したヒューマノイドロボット

中国のAGIBOTは、2足歩行のサイズ違いのヒューマノイドロボットをはじめ、車輪型や4足歩行の自走型ロボット4種類を展示した。2足歩行のロボットが機敏な動きでダンスすると、来場者で人だかりができた。同社は日本市場への参入をこの日表明し、日本企業との連携を模索するという。一方、ヒョンデグループは、段差の多い都市や傾斜地でも安定した輸送が可能な輸送型ロボットを紹介。自動車メーカーグループのロボット参入は、世界的なロボット市場をめぐる競争の激しさを示した。

地域の人手不足解消を目指すロボット連携「RINGプロジェクト」を有識者らが議論

国際ロボット展の会場では、フォーラムも行われた。

経済産業省は、「RINGプロジェクト全国フォーラム~オールジャパンでのロボット社会実装の推進に向けて~」をテーマにしたパネルディスカッションなどを実施した。RINGは「全国ロボット・地域連携ネットワーク」の英略称で、2025年6月に、地域の人手不足解消に向けたロボットの活用を掲げて設立した。この日のパネルディスカッションでは、人手不足が深刻化する中で、ロボットが未導入の領域にもどのようにすそ野を広げていくのかなどを話し合った。

「RINGプロジェクト全国フォーラム~オールジャパンでのロボット社会実装の推進に向けて~」をテーマにしたパネルディスカッション

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