「骨太の方針」から考える新事業 デジタル化・脱東京集中に注目

毎年発表されている骨太の方針だが、2020年は新型ウイルスのパンデミックという前代未聞の危機が発生。日々生じる新しい問題や経済危機への不安の中で検討が進み、閣議決定された。「新たな日常」を実現する社会のデジタル化と脱・東京一極集中が、新事業を構想するヒントになりそうだ。

「経済財政運営と改革の基本方針2020(骨太の方針2020)」は、検討中に新型コロナウイルス感染症が拡大したため、例年より1カ月ほど遅れた7月17日に閣議決定された。経済財政諮問会議の委員を務める東京大学大学院経済学研究科教授の柳川範之氏に、前代未聞の状況下での策定にあたり注目された点や、民間事業者が新規事業を考える上で参考になる箇所について話を聞いた。

柳川 範之 東京大学大学院経済学研究科 教授

緊急事態宣言下での検討

柳川氏は、2019年度から骨太方針の検討に参加している。2001年から始まった骨太の方針の検討は、翌年度の政府予算に反映させるために、おおむね6月半ば~7月初めには閣議決定されるというスケジュールで進められてきた。しかし2020年はこれまでとは事情が大きく異なっていた。新型コロナウイルス感染症の拡大の中、4月7日に緊急事態宣言が発出され、経済財政諮問会議の主な議題もコロナ禍の下での緊急経済対策となった。諮問会議の議員が物理的に集まることも難しくなり、一部でテレビ会議も導入された。

「経済を回すことと感染症の拡大防止が最重要の議題になりました。日本だけでなく、世界経済が危機的な状況になる可能性がある。一方で、感染拡大の状況は予測がつかない。議論を進めるにも手探りに近い状態でした」と柳川氏は振り返る。

コロナ下で開催された経済財政諮問会議で議事を進める西村内閣府特命大臣(当時)

社会のデジタル化を
一気に進める

そのような中で発表した骨太の方針2020は、コロナ対策を含む様々な施策を網羅したものになった。大きく紙幅を割かれているのが、デジタル化に関する施策だ。デジタル・ガバメント実行計画の見直し、実現の加速を含めた行政のデジタル化から、ポスト5Gの技術開発の推進、AIやロボットの利用、スマートシティの社会実装と、ニュースで話題になるようなテーマはほぼ入っている。

コロナ危機の前、2020年の年初の段階で、柳川氏は今年の骨太の方針の大きな議題は「日本社会のデジタル化」になると考えていた。また、オリンピック・パラリンピック開催後の経済の落ち込みを防ぐうえでも、デジタル化を通じた生産性向上は重要トピックの1つとみなされていた。それがコロナ禍で、さらに優先順位が高まった。緊急事態宣言下で必要に迫られ、社会全体でテレワークや遠隔医療、オンライン教育の導入が進み、多くの人がデジタル化の重要性を痛感した。

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