そもそも、自社の事業は『サブスクに耐えられる』のか?

IoTやAIなど、情報技術の進化により社会が大きく変容するデジタルトランスフォーメーション(DX)をふまえた経営は必須の戦略となっている。高度な情報社会で、新たなビジネスを生み出すための知識を、アカデミアと実業、双方の視点を持つ経営学者・川上昌直氏に聞いた。

ビジネスモデルを
ゼロベースで構築する

これからの企業経営を考えるうえで欠かせない概念であるデジタルトランスフォーメーション(DX)。あらゆる領域にデジタル技術が浸透することで、製品やサービス、ビジネスモデルは大きな変革を迫られる。

川上氏は「既存のビジネスモデルにDXを足す、例えばサブスクを足すといったケースを多く見かけます。しかし、単に足し算するだけではビジネスは最適化しません。いずれ収益性が損なわれ、撤退することになるでしょう」と話す。

川上 昌直(兵庫県立大学 国際商経学部 教授、博士(経営学))

DXという社会のしくみの変化を前に、既存のビジネスモデルで収益を上げている企業、組織が本当にゼロベースで新たな収益モデルを生み出せるか、いま試されている。

「新しい要素をただ付け足すだけだと、旅館の建て増しのようになり、最後には違法建築のような不細工なビジネスモデルになってしまいます。こうしたパターンは特に大企業で見られる傾向が強いです」

兵庫県立大学の教授として教鞭を執る川上氏。今回のコロナ禍で、どの大学も新学期からの授業をリモートに切り替えざるをえなくなった。リモート授業は、対面の授業とはまったく違う取り組みだ。例えば、これまで教壇に立って教科書を読むだけの授業をしていた教授がそのスタイルでリモート授業にすれば、学生は途端にカメラをオフにして別のことをするだろう。リモートでも魅力的な授業をするには、ゼロベースで構築し直す必要がある。

「授業の仕方はゼロベースで再構築しました」と自身の体験をもとに川上氏は指摘する。川上氏の場合、"授業中にとにかく当てる""投票機能を使って挙手させる"など、リモートならではの双方向性を使って、相手を惹きつける要素を取り入れた。それに応じて講義内容も最適化をした。

「リモート授業、つまり講義のDXを成功させるには、ゼロからの設計が重要だということです。この考え方は企業でも同じです」

そもそもその事業は、
サブスクモデルに"耐えられるのか"

学外での実践として、大企業の社内起業的なプロジェクトにかかわることが多い川上氏。

「新規事業は必ずマネタイズを組み合わせて考えるのが私の手法です。そのなかで、"試しにサブスク(サブスクリプション)をやってみてください"と言うことがあります」

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