「創造的過疎」神山町の今 サービス・農業で続々新ビジネス

地方創生の先進地、徳島県神山町。創造的人材の誘致により、町内に続々とIT・農・食などの新ビジネスが生まれている。仕掛人の大南信也氏が、神山の今とこれからを語った。

神山町内のIT企業サテライトオフィス

蔵をリノベーションしたプラットイーズの「蔵オフィス」

デジタル工房「神山メーカースペース」

過疎の中身を改善する

徳島県中山間部の人口5,300人の小さな農村である神山町。ここにはIT・デザイン・映像関連企業など16社がサテライトオフィスを置くほか、アーティストや起業家が多数移住してきている。移住者たちのクリエイティブな発想が地場産業である農業にも刺激を与え、新しいビジネスやサービスが生まれ、地域内で経済がゆっくりと回り始めている。地方創生に携わる者で、神山町の名を知らない人はいない。

神山町の発展を20数年の長きにわたり牽引してきたのは、NPO法人グリーンバレーだ。理事長の大南信也氏は、1970年台後半にスタンフォード大学大学院に留学してシリコンバレーの空気に触れ、神山町に帰郷して地域づくりを始めた。「神山は何もない町ですが、シリコンバレーのようにクリエイティブな人たちが集まれば、何か新しいことが起こるのではないかと考えました」と振り返る。

神山町を表す言葉として知られる〈創造的過疎〉は、大南氏が2007年に作った造語だ。過疎化の現状を受入れ、過疎の中身を改善する。若者や創造的な人材を誘致し、人口構成の健全化を図り、多様な働き方が可能なビジネスの場としての価値を高めることで、農林業だけに頼らない、持続可能な地域を目指すというコンセプトである。

日本の過疎地における一番の問題は、雇用がない、仕事がないことだ。であれば、仕事を持った人、仕事を創り出す人を集めれば、問題は解決する。神山町では現在、『ワークインレジデンス(仕事を持った移住者の誘致)』、『サテライトオフィス(場所を選ばない企業の誘致)』などのプロジェクトに力を入れている。

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