2017年10月号

SELF TURNの時代

エプソン流で食品メーカーを改革 事業承継のカギは「自己流」

林 善博(ひかり味噌代表取締役社長)

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『SELF TURN(セルフターン)』とは、企業規模や場所に捉われず、自分の生きがいという本質を探し、自分らしく働ける場を見つけ出すこと。4回目は、事業承継のロールモデルとして、ひかり味噌の林社長を紹介する。

林 善博(ひかり味噌代表取締役社長)

長野県下諏訪町に本社を置くひかり味噌は、国内みそ市場でトップ3に入るメーカーで、特に無添加のオーガニックみそで圧倒的なシェアを誇る。

「現在の売上高は132億円。私が入社した1994年当時は30億円程度の売上高だったと記憶しています」と話すのは、2000年に父親の後を継ぎ社長に就任した林善博氏だ。

1960年生まれの林氏は大学卒業後信州精器(現セイコーエプソン)に入社。「卒業時、父親から承継話は一切なかったので、得意な英語を活かして海外関係の仕事に就こうと考えました」。当時のセイコーエプソンは売上の8割を海外で稼いでいた。林氏は一貫して海外営業を担当、5年間のイギリス赴任も経験した。

経験を活かし、スタイルを貫く

「大きな売上を背負っている自負心もあり、仕事はとても面白かった」と話す林氏だが、1994年に親の説得を受けてひかり味噌に入社。「12年間働き、自分のビジネスのスタイルは"エプソン流"で固まっていました。それを"転職先"のひかり味噌で試そうという意識でしたね」

エプソン流とは何か。林氏は「ブランドとマーケティングを自前でつくること」と表現する。セイコーエプソンは服部一郎社長(1980年~87年)の時代、腕時計の製造下請けから脱却するために自社ブランドを立ち上げ、プリンター・パソコンの販売で躍進した。海外販売も商社任せではなく、自社販売網を地道に築き上げ、それが成長のエンジンとなった。

当時のひかり味噌は、スーパーのPB商品や食品メーカーへの原料販売が主力で、自社ブランド商品はほとんどなかった。「会社をさらに大きくするには絶対にブランドが必要」と林氏は改革を推進。自社商品の拡充とともに、食の簡便化を見据えて即席みそ汁やスープなど加工品を強化した。そして食の安全や健康志向の高まりを捉え、無添加・オーガニックを全面に押し出した販売戦略を展開。まさに「ブランドとマーケティング」で会社を変えていったのだ。

多様な人材が強い企業をつくる

「承継の際に決心したことは、良いところは残す、変えるべきところは徹底的に変えるということ。親とはだいぶ議論しましたが、最後の意思決定は私に委ねてくれた。その点はとてもありがたかったですね」

同時に、林氏は同族経営から組織経営への脱皮を目指し、経営・人事体制を大きく変えていった。「会社を経営するからには自分のキャビネットメンバーを揃えなければと、必死に優秀な人材を集めました。私を支えてくれるメンバーに恵まれたからこそ、これだけの成長が実現したのだと思います」

林氏が承継後から現在まで一貫して注力しているのが採用活動だ。「長野だけでなく全国から人材を採用すること。特に中途採用では食品業界経験者にこだわらず、幅広いバックグラウンドを持った人材を集めることを意識しています」

 "エプソン流"でひかり味噌を改革し、多様性に溢れる組織をつくりあげた林氏の取り組みからは、SELF TURNの本質が見えてくる。多様な人材が、それぞれの流儀や経験を最大限活かすことで企業は活性化し、地域は豊かになるのだ。

 

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SELF TURN オンライン
https://media.selfturn.jp/
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