9分の8自治体が「消滅可能性」 能登発、課題解決のアイデア
能登半島の9自治体のうち8自治体が「消滅可能性都市」として挙げられるほど、地域の少子高齢化や過疎化は深刻な状況にある。しかし、この課題先進地からは交通や人材育成などの分野で、全国の模範となる先進事例も生まれている。

輪島商工会議所は電動ゴルフカートを活用した次世代交通を実証。昨年からは自動運転の公道実験もスタートしている
ゴルフカートで地域交通
自動運転の公道実証もスタート
能登半島の抱える課題のひとつが交通である。人口減や地方自治体の財政難によって、既存の交通体系を維持することが難しい状況になっている。例えば2005年には、第三セクターであるのと鉄道が運営していた能登線(穴水町~珠洲市、61km)が廃止になった。
こうした状況の中で注目を集めているのが、輪島商工会議所が取り組む、全国初のゴルフカート(エコカート)を活用した新交通システムの実証だ。輪島へ訪れる観光客に利便性の高い移動手段を提供すると共に、移動手段を持たない買い物弱者・高齢者への対策として導入コストの安い電動ゴルフカートに着目。「本交通システムを構築することにより、コミュニティバス運行などの自治体の費用負担を削減する」としている。
2010年に調査をスタートし、翌年から社会実験を開始。2014年度からは全国初の、軽自動車ナンバーを取得したエコカートによる調査走行を開始した。現在、市内観光スポットを結ぶ「輪島キリコ会館コース」および「塗めぐりコース」と、公共施設・医療機関・商業施設を結ぶ地域生活に密着した「輪島病院コース」で、エコカートサービスを実施。2015年度は4台のエコカートを2170人が利用、うち7割が観光客だった。
2016年11月からは「塗めぐりコース」の一部区間で自動運転による公道走行を開始。これは経済産業省・国土交通省の行う「ラストマイル自動走行実証事業」の一環で、産業技術総合研究所や、ゴルフカートを開発するヤマハ発動機などが主導している。ゴルフカートを誘導する電磁式銅線を地中に埋め込み、誘導線に沿って自動走行がなされる仕組みだ。
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