古民家再生の要は「人材」と「資金」 地域経済活性化支援機構の構想
観光まちづくりにおける古民家活用に注目が集まっている。地域経済活性化支援機構は「人材」と「資金」の両面で、全国の古民家再生の取り組みを支援している。
日本の伝統工法で作られた歴史的建築物、いわゆる古民家は全国に150万戸存在する。現在、古民家をホテルやレストランなどの施設に改修し、観光まちづくりに活かそうという試みが、全国各地で始まっている。日本文化を体現する古民家は、外国人観光客や都心の若者向けの有力なコンテンツとなる。一方、人口減に伴う空き古民家の増加に頭を悩ませる地域にとっても、古民家再生は課題解決の手段だ。
郊外や過疎地の古民家活用が焦点
官民ファンドの地域経済活性化支援機構(REVIC)は、古民家再生を観光まちづくりの重点分野と位置づけ、全国の事業者の取り組みを支援している。常務取締役の渡邊准氏は、現状について、「民間の活用が進んでいるのは京都など人気観光地が大半。これらのエリアを除けば、古民家が集積する佐賀県有田や兵庫県篠山などで先行事例が見られるのみで、その他の郊外では活用が進んでおらず、過疎地はほぼ全く活用されていません」と指摘する。
郊外や過疎地では、古民家という『点』ではなく、『面』での総合的なまちづくり、つまり、他の観光資源との連携や融合が欠かせない。例えば過疎地では、農業体験や教育旅行と古民家再生を組み合わせることが有効だろう。
「このような視点で古民家再生に取り組む場合、ネックとなるのは『人材』と『資金』です」と渡邊氏。
『人材』とは、古民家再生を含む地域全体の観光戦略を策定し、また、古民家オーナーなど地域住民・事業者との密接な関係性を築ける人物だ。戦略思考と専門知識、コミュニケーションスキルを持つ専門人材が求められる。
『資金』は事業化のフェーズ、具体的には古民家を利用したい事業者とのマッチングや、古民家のリノベーション、実際の施設運営で必要となる。
REVICは、地域に不足する『人材』と『資金』を提供するインフラとしての役割を持つ。地域金融機関等とも連携し、観光活性化ファンドによる資金供給を行うほか、社内の経営やファイナンス、法務など約250人の専門人材から、投資先に派遣を行っている。
例えば兵庫県丹波篠山では、古民家再生事業者に協調投融資を実行、5軒の古民家をホテルやレストランに再生した。長野県山ノ内町の湯田中温泉で古民家再生を行うまちづくり会社には、資金供給のほか、REVICから取締役を4人派遣し、地域の若手経営者らとまちづくりに取り組んでいる。
古民家再生のさらなる活性化に向けて、渡邊氏は「政府には、民業促進のための規制緩和を期待したいですね。また、観光庁などが主導して古民家再生や観光まちづくりの専門人材プールの創設もあるといいでしょう」と話す。REVICは古民家再生に取り組む地域や事業者への支援を通じて、地方創生の実現を目指していく。
お問い合わせ
- 株式会社地域経済活性化支援機構
- TEL:03-6266-0310(代表)
- URL:http://www.revic.co.jp
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