パリ協定のポイントと課題―イノベーションがカギ

温暖化交渉におけるCOP21の位置づけ

昨年12月12日、COP21はパリ協定を採択して参加者総立ちの拍手の下で閉幕した。まず温暖化交渉の流れの中でのCOP21の位置づけを振り返りたい。

1997年の京都議定書は先進国のみが温室効果ガス削減義務を負い、国連の下で排出量を割り当てるという片務的、かつトップダウンの枠組みであった。その結果、米国の離脱を招き、更に中国等の新興国の排出量が急増する中で京都議定書が世界の温室効果ガス削減に役立たないことが明白となった。

2010年のCOP16では米国、中国を含む全ての国が参加する2020年までの枠組みとしてカンクン合意が採択された。カンクン合意は先進国、途上国が緩和目標/行動を自主的にプレッジ(誓約)し、それをMRV(計測・報告・検証)するというボトムアップ型のプレッジ&レビューの枠組みであり、先進国のみに義務を課したトップダウン型の京都議定書とは性格を全く異にするものであった。

しかしカンクン合意は法的拘束力のないCOP決定であり、2020年以降の枠組みについては白紙のままである。2011年のCOP17では2020年以降の枠組みの交渉マンデート(権限)が合意され、「全ての締約国に適用される、枠組条約の下での議定書、その他の法的文書あるいは法的効力を有する合意成果を2015年のCOP21で得る」こととされた。COP21が重要な位置づけを占めるに至ったのは、それが理由である。

©Maxim Lupascu/123RF.COM

パリ協定のポイント

次にパリ協定の主要ポイントを紹介する。

(1)温度目標

パリ協定では目的の一つとして「世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求すること」を規定した。国際条約において温度目標を規定するのはパリ協定が初めてであり、これを踏まえ「できるだけ早く世界全体の温室効果ガスのピークアウトを目指し」「その後、迅速に排出を削減し」「今世紀後半に世界全体の温室効果ガスの排出と吸収のバランスを図る」との長期目標が設定された。

(2)全員参加型の枠組み

パリ協定の最大の特色は、先進国、途上国を問わず、各締約国が国情に応じて緩和(温室効果ガスの削減・抑制)目標を策定し、その根拠となる情報を含め、枠組条約事務局に通報し、その進捗状況を定期的に報告し、専門家によるレビューを受けるというボトムアップのプレッジ&レビューの枠組みとなっていることだ。この一連のプロセスは協定上の義務であるが、目標達成そのものは義務ではない。カンクン合意の流れをくむ枠組みであり、先進国のみが削減義務を負っていたトップダウンの京都議定書のアプローチからの大きな転換と言えよう。各国の提出する目標については5年ごとに更新することとされており、従前の目標から前進していることを期待される。

またパリ協定には締約国同士が自主的に協力してダブルカウントを避けつつ、緩和成果を国際的に移転するメカニズムを許容する規定が盛り込まれた。日本が追求してきた二国間クレジット(JCM)を読み込めるが、その計測ルールは国連が定めるガイドラインに準拠することが求められており、詳細は今後の交渉に委ねられている。

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