経営者としての医療従事者

クリニック・病院・歯科医院の経営環境は、厳しさを増している。打開するためには、「地域包括ケア」に見られるように、医療施設が地域に根ざした新たな役割を担う必要がある。

現在、日本の医師数は約30万人、それに対して病院・診療所などの施設数は、約11万施設である。この数字はどのような意味を持つか。それは多くの医師が「経営者」になるということである。歯科医師はさらに顕著であり、約10万人の歯科医師に対して、68000の歯科診療所が存在する。

この割合は恐らく画期的な高さであり、通常の職種ではありえない効率である。医師、歯科医師の多くは、経営者となる可能性が高いにも関わらず、経営者としてのトレーニングを積む機会は非常に限定的である。多くの方が経営者として活動をしなくてはならないことに加えて、近年の医療を取り囲む劇的な環境変化がある。日本は高齢社会の先進国として、他の追随を許さない高齢者割合を誇り、その変化の影響を最も全面で受け止めるのが医療業界である。

高齢化の影響で医療の需要はおおきな変質を行う。それは世間で言われているような、「高齢化による量的な増大」というよりも「質的な変化」である。例えばクリニック経営に関わるような、外来患者数は、高齢社会において大きく増加するわけではない。増加する需要は、「認知症」であったり、「複数の病気を抱えている人」であったり、いわゆる高齢者に特有の需要が増加することになる。とはいえそればかりが医療の需要では無く、小児や産科の需要は減少しても引き続き、存続する。

医療施設は「公共施設」としての役割と「事業主体」としての役割を同時に追求する極めて難しいマネジメントを迫られることになる。医療施設が無くなることは、単に一つの事業主体が無くなることに留まらず、地域システムの持続性、地域住民の安全・安心を支える基本インフラであるからである。

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