未来を担うアンチエイジング外来
超高齢化社会へ向かい、医療費が高騰する中、医療の現場から発信する戦略がある。これからの医療は病気を治すだけでなく、積極的な予防医学が必要になっている。鶴見大学では国内の歯学部で初の"アンチエイジング外来"を設立した。
"アンチエイジング"は医療費削減への道
少子高齢化が進み2050年には国民の約3割が高齢者となる超高齢社会に突入する。医療費の高騰は明白で、国民の健康増進と生活の質の向上は避けて通れない課題のひとつとなっている。
これからの医療には何が求められるのだろうか。
今、「健康と若さを保ちながら年を重ねることを可能にする医学」として抗加齢(アンチエイジング)医学の普及が求められている。これは単に寿命を延ばすだけではなく、老化による心身の衰えを防ぎ、生活の質(QOL)を高く保つ医療だ。日本の医療従事者で関心も年々高まり、国内最大のアンチエイジングの学会である日本抗加齢医学会は10年前200人の会員から始まったが、現在では全国8,000人以上の会員が活躍している。
日本初 歯学部でのアンチエイジング外来
鶴見大学歯学部附属病院では2005年7月にアンチエイジング専門外来を歯科大学において初めて設置をした。
設置の発起人は歯学部教授の斎藤一郎氏だ。
「病気になってから行くのが病院ですが、現代は"積極的な予防医学"が必要とされています。アンチエイジング外来では、患者さんが自分の弱点を知ることで、日常から病気にならない体を作るサポートをしています。体の老化度の検査を行い、一人ひとりのライフスタイルに合わせ、老化を防ぐための運動や食事などを提案しています。人間ドックでは病気と診断されなくても、身体の老化は始まっていて、病気の一歩手前の方が多数存在します」
患者さんの多くは団塊の世代で定年退職後第二の人生を始める前に、自分に合った健康の管理法を調べに来る。
「アンチエイジング外来が理想とするのは、全身の均質な老化です。血管の老化が動脈硬化につながるように、身体の一部だけの老化が進行してしまうと他が健康なのにその部分だけが病気になるリスクが高くなります。自分では健康だと思っていてもこの老化度の検査をすると、ほとんどの方が何かしらバランスを欠いていることが判明します。口の中でもだ液量が少なかったり、全身的には体内のビタミンやミネラルが不足していたり、客観的に自分の体の老化度を知ることは病気の予防につながります」
全文をご覧いただくには有料プランへのご登録が必要です。
-
記事本文残り59%
月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!
初月無料トライアル!
- 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
- バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
- フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待
※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。