「米国流」生存競争が激化へ

日本の医療が現在、どんな問題を抱え、そしてどこへ向かおうとしているかについては、TPPの問題も絡み、一般生活者には見えにくい。日本医師会の第18代会長で、医療法人杏仁会大圃病院・理事長の原中勝征医師に医療の行方を語っていただいた。

知られていない日本の危機

65歳以上の高齢者の1人当たり医療費は、労働年齢者の5.5倍かかります。そうした高齢者1人を、労働年齢者2.8人で支えているのが日本の現状です。

しかし、2055年までに、日本の人口は、約3000万人減少し、働く人と高齢者がほぼ同数になると言われています。労働年齢者1人で高齢者1人を支えないといけないわけです。

ところが、労働者派遣法の拡大によって、年収200万円以下の若者が急増しています。彼らは、子どもを作ることはおろか、結婚することもできません。保険料も払えず、年金もかけていない若者が10%を超えていますが、今後も増え続けるでしょう。そんな彼らに高齢者を支える力などないのです。

もう一つの問題は、国債です。現在の日本人の預貯金は約1200兆円と言われていますが、経済の低迷による生活苦でそれも徐々に減り始めています。

それに対して日本の国債発行額は約1000兆円で、4年後にはそれが約1200兆円になると予測されています。

日本人の預貯金総額が国債発行額を下回るようになれば、日本の国債に対する国際的信用は失墜するでしょう。

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