「病気」から「人」を診る医療へ

病気にならないための身体のメンテナンスは、個人に委ねられる時代になってきている。日々の生活から"健康の基盤(ヘルスファウンデーション)"を整えることで病気のリスクを減らすことができるとしたら、あなたなら取り組むだろうか。

病気にならない体をつくる

点滴療法は栄養素や薬剤を直接血管内に投与するため、必要な量を100%摂取することができる。がん治療として高濃度ビタミンC点滴療法、症状(動脈硬化、高血圧、アレルギーなど)に合わせた点滴療法がアンチエイジングクリニックでは積極的に導入されている

「10人の患者さんが来たら10通りの診療をします」と話すのは、三番町ごきげんクリニック院長の澤登雅一氏だ。「私が最も心がけているのは患者さんと時間をかけて話すことです。個々によって遺伝的背景、育った環境、生活習慣は異なります。普段の生活や健康に対する価値観、ライフイベントなどについて、十分に時間をかけて話し合うことで、その人の健康の基盤が見えてきます」

がんの専門医として約15年間、日本赤十字社医療センターにて勤務。おもに白血病や悪性リンパ腫など血液悪性腫瘍の患者さんを診療していたが、病気になってからでは失うものがあまりにも大きいことにジレンマを感じた。

病気になってから治療をするのではなく、"病気にならないような体を作る"という新しい医療に取り組むため、澤登氏はアンチエイジング医療を始めた。

「今、現れている病気や症状だけを見るのではなく、その人がなぜ病気(あるいは体調不良)になったのかということに重点を置いています。そのためには病気や症状だけではなく、患者さん自身を知り、健康の基盤を整えていくことが大切です。健康の基盤に乱れが生じると慢性的な体調不良や病気が引き起こされます(図)。これからの医療は、画一化から『個別化』、病気を見ることから『病気を患った人を診ること』、一つの事柄を見ることから『全体を見ること』が必要になります」

医療費の約8割を占めている慢性疾患は、個々の習慣や環境に依存することが多い。多くの医師が個別化診療を始めることで、日本の医療体系に変化を与えることができるのではないだろうか。

現代人はカロリー過多の栄養失調 その理由は?

健康の基盤の中でも澤登氏は特に栄養バランスに重点を置いている。

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