新潟市のDX事例 5G時代の新産業創出へ向けた取り組み

新潟市は駅前再開発とともに都市部でデジタル技術を活用した新産業を育て、若者の雇用の場を創る取組を進めている。新潟市の田代氏と、同市を支援するドコモビジネスソリューションズの鎌田氏に話を聞いた。

左より、ドコモビジネスソリューションズ ソリューション営業部新潟支店 担当課長 鎌田 勇紀氏、
新潟県新潟市成長産業・イノベーション推進課 課長 田代 いずみ氏

DXをテーマとした
共創の場を提供

新潟市の総人口は2005年の81万3847人をピークに減少に転じ、特に就職する年齢層である20~24歳の転出超過が顕著で、若者の東京圏への流出が課題となっている。新潟市では現在、約60年ぶりとなる新潟駅のリニューアル工事が行われており、周辺エリアでも再開発の動きが進む。新潟市では、都心エリアを「にいがた2㎞」と呼び、同エリアを、新潟市の経済・産業の発展を牽引する成長エンジンとし、市内全域に波及させていくことを目指している。

「まちづくりの基本方針の1つに、『人・モノ・情報の中心拠点となる 稼げる都心づくり』を掲げ、魅力的な企業が集まるビジネス拠点の形成を図ります。特にデジタル技術を持った企業の集積や産業のDXを支援し、にいがた2kmへの企業進出を促すことで雇用の場を創出し、若者の県外流出の抑制と、新たな流入につなげたいと考えています」と新潟市成長産業・イノベーション推進課課長の田代いずみ氏は語る。

2021年4月には市内外の企業が参画し、プロジェクト型で新事業創出を目指す共創型コミュニティ「DXプラットフォーム」を設立した。現在73の企業・団体が参加し、これまでに、金属加工業者が参画し、設備の稼働状況などを見える化した共同受注プラットフォーム「製造業DXプロジェクト」や、ベンチャー企業が立ち上げたドローンによる配送サービスの確立を目指す「次世代デリバリーサービス構築プロジェクト」など10件のプロジェクトが進行中だ。

「これらの取り組みを支援するため、5Gを活用した実証実験スペース『5Gビジネスラボ』を2021年9月に開設しました。この活用を通じ、新産業の創出を支援していきます」(田代氏)

XR産業創出と
デジタル人材の育成

また、2022年度から、XRを用いたプロジェクト「NIIGATA XRプロジェクト」も開始した。メタバースを含む仮想空間の市場で産業を創出し、若いデジタル人材の雇用の場の創出を目指す。現実の都市空間を3Dでデジタル化したプラットフォーム上でXRコンテンツ実装を進めており、XR水族館などのイベントも開催した。併せて、コンテンツ制作を学ぶスクールを開校し、将来のクリエイターの育成も行っている。

「デジタル田園都市国家構想推進交付金を活用し、XRコンテンツ実装事業の補助金も創設しました。この補助金を活用した事業として、XRスタンプラリーとNFTを活用した地域コミュニティ事業を採択しました。これらのプロジェクトを支援し、産業創出につなげるとともに、市民や事業者の皆さまにも体験いただきながら、地域全体を盛り上げていきたいです」(田代氏)

また、新潟市のDXの推進を支援するドコモグループは、地域の「文化」と「社会課題」に、同社のデジタル技術を掛け合わせたサービスを提供している。ドコモビジネスソリューションズ ソリューション営業部新潟支店担当課長の鎌田勇紀氏は「地域の文化と技術を組み合わせれば、新たな体験や価値が創造できます。その結果、多くの人に実際に新潟を訪れていただき、賑わいをつくることができます。また、技術を組み合わせることで、社会課題の解決や新産業創出にもつながります。ドコモグループはこのような面から新潟市を支援することで、新潟を盛り上げ、新潟発で日本全体を元気にしたいと考えています」と語った。

※この記事は、2023年2月8日開催の「地域の産業と暮らしをアップデートする自治体DXウェビナー」に基づいて作成しました。

 

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