ブリヂストン ゴム人工筋肉技術を活用した新規事業
ブリヂストンが初めて社内ベンチャーを立ち上げ、ビジネス自体をデザインしようとする「柔らかいロボット」プロジェクトが、2年連続してグッドデザイン賞を受賞した。「サステナブルなソリューションカンパニー」を標榜する同社が取り組む理由を創業メンバーから聞いた。
文・矢島進二(日本デザイン振興会 常務理事)

山口 真広
株式会社ブリヂストン ソフトロボティクス ベンチャーズ主幹。前職では、マラリア撲滅に向け開発された長期残効型防虫蚊帳の新規事業
ブリヂストンのソフトロボティクス ベンチャーズ山口真広氏は、モビリティ業界の変革期であった2018年に他業種からブリヂストンへ転身した。「ある意味、“無器用な会社”が面白いと思い志望しました。AIや自動運転の時代にあってもタイヤの本質は変わらず、逆に可能性を感じたのです」と語り始めた。
入社時は、同社がタイヤ・ゴム事業に加えソリューション事業を強化する時期で、当初は都市のモビリティの未来像を描くグローバル戦略の立案に従事した。しかし、コロナ禍により人々の移動が制限されるなど、モビリティの在り方は大きく変化。その中で同社は「両利きの経営」を掲げ、コア事業とソリューション事業である成長事業に加え、新たなビジネスを創る探索事業を推進していくことになった。
そこで山口氏は、90年以上にわたって蓄積されてきた同社のタイヤ・ゴム技術の研究資産を活かし、“ゴム人工筋肉技術”に着目。約100社にヒアリングを実施した結果、「柔らかいロボット」に独自の価値革新の可能性を見出したからだ。「コロナ禍で、これだけテクノロジーが進んでいるのに、なぜロボットは私たちの役に立っていないのか?」という素朴な疑問も背景にはあったとも言う。
「柔らかいロボット」には、価値をイノベートしていける余白があると仮説を立て、これをベースに、同社初の社内ベンチャー「ブリヂストン ソフトロボティクス ベンチャーズ」が発足した。「新規事業は、顧客の課題を見つけ、まだ確立されていないソリューションをつくり売ればいいのですが、もっとビジョンドリブンなことをやりたいと思いました。そうなると私たちだけでは限界があるので、外部デザイナーの知見を借りることにしました」。
全文をご覧いただくには有料プランへのご登録が必要です。
-
記事本文残り70%
月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!
初月無料トライアル!
- 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
- バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
- フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待
※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。