バリューチェーン全体で循環型社会を目指す、TOPPANとDNP

大量生産・大量消費・大量廃棄型の直線的な経済社会から、有限資源を効率的に活用する循環型社会へ。その取り組みは、企業の持続可能性に直結する。印刷技術を基盤に様々な事業を手がける2つの企業はどのように取り組むのか。

バリューチェーン全体で循環型社会を目指す、TOPPANとDNP

大量生産・大量消費・大量廃棄の直線型経済から、有限資源を効率的に活用する循環型経済へ。その取り組みは、企業の持続可能性に直結する。日本の高度経済成長を支えてきた印刷技術を基盤に多様な事業を手がける2つの老舗企業、TOPPANと大日本印刷はどう取り組むのか。

1900年に凸版印刷合資会社として創業したTOPPANは今、情報コミュニケーション、生活・産業、エレクトロニクスの3分野を中心に、シナジーを活かした事業を展開し、DX・SXの最先端を走る。2019年には「TOPPAN SDGs STATEMENT」を発表、SDGsを経営戦略に統合し、今年(2023年)には環境ビジョンの拡充、環境目標の上方修正を行った。環境分野の柱に据えるのはサーキュラーエコノミーの推進だ。2021年には、取引企業のSDGs施策を支援するチームも編成して、バリューチェーン全体での取り組みを進める。また2022年には、イトーヨーカ堂とともに、日用品詰め替えパッケージの店頭回収実証実験を実施した。ポイント付与あり/なしでの違いの検証や、サイネージでのデータ収集を通じて実効性の高い仕組みを模索し、社会実装を目指す。

1876年創業の大日本印刷もまた、現在は情報コミュニケーション、生活・産業、エレクトロニクスを主な事業分野とし、リチウムイオン電池用バッテリーパウチやディスプレイ用光学フィルムなど、世界トップシェアの製品・サービスを展開する。2020年に「DNPグループ環境ビジョン2050」を策定、循環型社会に向けては、バリューチェーン全体での資源の効率的利用・循環を目指す。2022年には環境配慮デザインチーム「DNP GREEN PARTNER」を結成し、企業・団体による環境問題への取り組みに伴走する体制を整えた。2023年には、埼玉県の企業と連携して、家庭のプラスチックゴミをリサイクルする際の二酸化炭素排出量の可視化と発信によって、生活者の意識変容につなげる実証実験を行い、「日本DX大賞」特別賞を受賞している。

サーキュラーエコノミーの推進は、バリューチェーン全体、ステークホルダーの総力がなければ成し得ない。印刷の枠を超えて様々な分野へ、事業領域を大きく広げてきた両社だからこそ、可能なことは数限りない。

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