アクセス権ビジネスの時代に重要性を増す「劣後サービス」

デジタル化による社会構造や規範の変化を『文明の転換』と捉えて新たな文明における経済や経営のあり方を考える本連載。今回は「アクセス権」からビジネスモデルの未来を探る。今後は「劣後」の価値をいかにサービスに落とし込むかが重要となる。

トレーサビリティを支える技術やモノの経済と大きく異なるデジタル経済の特質などについて論じてきた。残り2回でそれらが生み出す「サイバー文明」の姿について論じてみたい。シリーズ第2回で述べたとおり、議論の大きな柱となるのが、トレーサビリティの発達に伴って、近代を特徴づけてきたモノの所有権を販売するビジネスモデルの時代が終焉し、利用権(アクセス権)を販売するモデルに大きく転換するというテーマである。今回はその中でも「アクセス権」という考え方について少し丁寧に解説していきたい。

アクセス権付与型ビジネスとは

少し厳密に考えるとアクセス権は「特定の時間や場所で、ある財から得られる便益を享受できる権利」のことであると理解することができる。実はこのように考えると所有権も、時間と場所について無限定となるだけという意味でアクセス権の一種であると考えることができる(図1)。

図1 所有権とアクセス権

出典:筆者作成

 

アクセス権付与型のビジネスは必ずしも新しいわけではない。賃貸不動産などはアクセス権付与によって成立しているし、交通機関における座席予約などもアクセス権付与である。高速道路の利用、通信ネットワークの利用など、自身が所有していない財を、利用料を払って使う形態はむしろ日常といっていい。ただし、それらが可能であるのは、アクセス権のコントロールが可能だからであって、貸し出している相手が追跡可能だったり、改札口などの「ゲート」によって入場が制限できたりする場合に限られてくる。それができる範囲がトレーサビリティ技術の発達によって大きく広がりつつある。

所有せずに利用するという考え方を聞いて、多くの方が懸念するのが、ピーク時などに利用ができない事態だろう。筆者も抵抗感なくさまざまなレンタルサービスを使っているが、いざ必要なときにいつでも使えるように自家用車も所有している*。

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