琉球びんがた普及伝承コンソーシアム AI時代に職人の価値の顕在化を目指す

IT企業のokicomが、地域創生事業として2019年に立ち上げた「琉球びんがた普及伝承コンソーシアム」。沖縄の伝統工芸である琉球紅型とデジタルを組み合わせることで、紅型産業の発展と課題の解決に挑んでいる。同コンソーシアムの取り組みや今後の構想について、事務局長の小渡晋治氏に聞いた。

 

小渡 晋治(一般社団法人琉球びんがた普及伝承コンソーシアム 事務局長、株式会社okicom 取締役副社長)

700年以上伝承されてきた
琉球紅型の産業課題

「びん」は色、「かた」は模様を意味する紅型(びんがた)。琉球紅型は沖縄独自の「米糊で防染し、色を染め重ねる染織」のことで、経済産業省が指定する沖縄の伝統工芸品の1つとなっている。

13世紀頃を起源とする琉球紅型は、450年ほど続いた琉球王朝において、王族・貴族の衣装として、また琉球の文化・技術の高さを諸外国に示す交易の品として発展してきた。通常、染物は染料を使う場合が多いが、紅型では、世界でも稀な顔料を使って染めるのが特徴の一つ。経年劣化で色が落ちず、鮮やかさを保つことができる。「1879年の琉球処分(沖縄併合)、第二次世界大戦の戦火をくぐり抜けて、700年以上途切れることなく伝承されてきました。沖縄のしたたかさや力強さを映し出し、独自のチャンプル文化も見てとれる、ユニークな伝統工芸品です」と琉球びんがた普及伝承コンソーシアム事務局長の小渡晋治氏は語る。

現在、琉球紅型職人の9割が呉服、帯、着尺を染めて生計を立てているという。産業課題としては、伝統工芸なので量産できない、価格面でアドバンテージがない等の理由で、呉服産業以外に拡がりにくいことが挙げられる。

「一方で紅型自体の人気は高く、紅型を学ぶために沖縄へ移住する人も含め、後継者には恵まれています。一番の問題は、安定して稼げないこと。やりたい人はいるのに、琉球紅型だけでは生計を立てるのが難しいことが課題です」

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