企業の顔を37年ぶりに刷新 老舗ハンドクリームメーカーの挑戦

オレンジ色が印象的で長年多くの家庭で親しまれているハンドクリーム「ユースキン」が、企業ブランドと主軸製品16アイテムのリブランディングを2020年7月に同時に敢行した。その背景と経緯について、ユースキン製薬の野渡和義代表取締役社長に聞いた。
文・矢島進二(日本デザイン振興会 常務理事)

 

野渡 和義(ユースキン製薬 代表取締役社長)

ユースキンの歴史は、神奈川県藤沢市の農家の四男として生まれた創業者(野渡和義社長の父親)の奉公先が、横浜市の薬屋であったことから始まる。そこで薬の知識を学び、その後独立し1955年に川崎市で薬局を開業する。

ユースキンの歴史は川崎市の小さな薬局からスタートした(創業者の野渡良清氏)

昼間は京浜工業地帯の工場へ御用聞きに出向き、夜は店番をしていた。ある冬の日に、手の荒れに困っている婦人が、ベタつかない薬を探しに来店。当時はベタつく油脂のワセリンしかなく、がっかりしながらも買って帰ったという。その姿から「自分で開発できたら、あのご婦人と他の大勢が喜んでくれる」と感じ入る。その後、知人の乳化技術の専門家にベタつかず保湿力のあるクリームの開発を依頼する。

野渡氏は言う。「創業時から『お客様のためになる』を理念としています。決して売上だけが目的ではありません。今でもそれは全く変わっていません」。1957年に、ひび・あかぎれ・しもやけに効く日本初の黄色い医薬品ハンドクリームとして製品化に成功し、「あなた(You)の肌(Skin)のために」から“ユースキン”と名付ける。60年以上経った今でも陳腐化せず親近感のあるネーミングだ。

また、抗炎症成分のdl-カンフルが放つ独特のスッとする香りと、ビタミンB2による黄色が特徴で、ユースキンと言えば、あの黄色を想起するのは昔から変わっていない。今では最大の特徴であるが、当時は取引先から「こんな色のクリームは売れない」と冷ややかに言われた。しかし、一度使った顧客や試供品を試した人から「黄色いクリームをください」と色とともに効能が認知され、徐々に伝播していく。

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