オリジナルフォントも開発 TBS、ブランディングでビジネスを拡張

2020年、TBSグループは企業理念やブランドプロミス、ブランドロゴを一新し、さらにTBSオリジナルフォントも開発するなど、グループ全体のリブランディングを行なったが、デザインの中核を担ったのは「デザインセンター」だ。同社におけるクリエイティブ部門の存在意義を担当者に聞いた。

(文・矢島進二 日本デザイン振興会 常務理事)

「番組」から「コンテンツ」へ

NetflixやTVer、ABEMAなど動画配信サービスが急激に浸透し、視聴形態が多岐に渡る状況となり、既存のテレビ局の存在価値が様変わりしつつある。民放テレビ局は、スポンサーからの広告収入によるビジネスモデルによって成長してきたが、インターネットの発展に伴い、その基盤が大きく揺さぶられている。各局は新たな方策を講じているが、TBSがいち早く取り組んだ一つが、リブランディングだ。

2020年春から様々なタッチポイントで印象的なロゴムービーが流れ、「TBSが変わりつつある」との印象を受けている視聴者は多いはずだ。このブランディングを中心に、TBSのデザイン部門を担っているのが「デザインセンター」だ。同センターのデザインマネジメント部長代理の太田卓志氏に経緯を聞いた。

太田 卓志 TBSテレビ デザインセンターデザインマネジメント部長代理(右)、團野 慎太郎 同 デザイナー(左)

「私は建築学科出身で、2001年の入社からバラエティや歌番組、ドラマなどのセットの設計を長年担当していましたが、他部署への異動なども経験して、視覚的なデザインだけでなく、より多角的に番組を楽しんでもらうためにデザインにできることはないか、と考えるようになりました。

デザインセンターの旧組織名は『ビジュアルデザインセンター』で、文字通り、いいビジュアルをつくることに全リソースを集中していました。いい番組をつくって放送するだけで、十分ビジネスの核として機能できると考えられていたからです。しかし時代の変化に伴い、放送に乗せることを主目的とした“番組”から、配信やイベントを含めてより幅広い領域で楽しんで頂く“コンテンツ”への再定義が求められるようになり、デザインに求められる役割も、表層のビジュアルに止まらず、幅広い課題達成に貢献することへと拡大しています。コンテンツの楽しみ方を拡張することが、ビジネスの可能性を広げ、会社の成長にも繋がる。そこに貢献することこそがデザインセンターの存在意義だと考えています」と太田氏。まさに「ビジネスデザイン」と言える大転換だ。

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