福島県南相馬市でプロジェクト研究 地域課題を解決する人材を育成

福島県南相馬市と事業構想大学院大学は、地域資源を活用した事業構想や、地域課題の解決人材の育成を目的に、「南相馬市プロジェクト研究」を開始。5月18日には南相馬市内で、開始式を開催した。事業構想大学院大学の田中里沙学長が、南相馬市の門馬和夫市長にプロジェクト研究への期待を聞いた。

5月18日には南相馬市でプロジェクト研究の開始式を実施した。右は研究会の様子

「100年のまちづくり」を目指し
復興への施策を推進

東日本大震災から11年が経過し、復旧・復興が進む中、福島県浜通り北部に位置する南相馬市は「100年のまちづくり」を政策目標に掲げ、様々な施策に取り組んでいる。

「この地域は気候が穏やかで、私たちもゆったりと生きてきました。しかし、震災と原発事故によって状況は一変しました。家族が離れ離れになり、避難生活が長期に及んだ市民もいます。また、多くの若い人たちが都会に避難し、地元に戻れないという状況です」。 南相馬市長の門馬和夫氏は震災後の状況について、こう語る。「市は東北最大の都市である仙台からも近く、海や山の幸、農産物が豊かで美味しいところです。しかし、私たちは地域が保有する資源の素晴らしさを高く意識はしておらず、さらに震災後は皆が自信を失っていきました」。そこで、門馬市長は震災からの復興に向けて、まずは「人づくり」を大切に考え、施策の中心に据えた。

2014年に福島県が取りまとめた「福島イノベーション・コースト構想」では「福島ロボットテストフィールド」を中核とし、ロボット分野を中心に企業が集積している。「日本一実証しやすい環境」を提供し、実証から研究開発、工場設置までの様々なステージに対応した新産業創出エコシステムづくりを目指している。若い研究者が来て、地域の事業者や子どもたちと共創、協業し、『ワールドロボットサミット2020』も開催され、大きな盛り上がりと実績が創出された。

また、福島国際研究教育機構の誘致や復興産業団地(フロンティアパーク)の整備を進めるほか、最先端技術を活用した農業を担う人材を育成する教育機関の整備も検討している。そして、移住者が活躍し、子育て世代に選ばれるまちづくりも進めている。市内では現在、若い移住者が様々な取り組みに挑戦している。若者世代に対応し、18歳までの医療費を無料化し、幼稚園や保育園は無償化、今年度からは中学校までの給食費を無料化して、子育て世帯を全面的に支援する姿勢を打ち出した。市内の学校では英語教育を強化していて、その特徴は対象層にも好評だ。

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