第4条「まず行動する」 猛烈に勉強し、即実行せよ

優れた経営者は、学んだことを実行に移すのがはやいと筆者は語る。「すぐ」が決め手であり、これは、と思うことがあれば、まず行動する。そして、たとえ失敗をしたとしても、その失敗に向き合い、学びを得ることが重要となる。

ゆったりとくつろげるラウンジを備えた「ななつ星」。筆者は2009年6月にJR九州社長に就任した後、すぐに「ななつ星」のプロジェクトチームを立ち上げ、猛烈な勉強と情報収集を行い、実行計画を練り上げていった

冷暖自知

明治維新は、近代日本が成し遂げた最大の事業構想といえる。

ほんの少し前まで幕藩体制下で鎖国を続けていた国が、わずか数年のうちに中央集権国家へと変貌を遂げ、政治・経済・科学・文化などあらゆる分野での近代化を成し遂げた。明治4年、はやくも郵便制度がはじまる。5年には、新橋・横浜間に鉄道が開通。まさに驚くべきスピードだ。

欧米列強がアジア諸国を次々に植民地化していく状況の中、心ある者たちがこのままでは日本という国家がなくなってしまうという強烈な危機感を募らせた。その危機感が明治維新の原動力となった。逆境力だ。

明治維新のリーダーたちは、この逆境力をベースに三つの力を発揮した。

一つ、自分たちが今やらなければいけないという崇高な使命感。

二つ、能力の極限まで注ぎ込んだ猛烈な勉強。

三つ、勉強したことをもの凄いスピードで実行に移した行動力。

今回は、3つめの迅速な行動をとりあげる。「まず行動する」。

山岡鉄舟は、勝海舟、高橋泥舟とともに幕末三舟と称され、明治維新の陰の立役者といわれる。戊辰戦争の際、西郷隆盛と勝海舟の大詰めの会談の前に単身西郷に会い、江戸無血開城の道を開いた功労者として語り継がれている。

剣、禅、書の達人でもある鉄舟の随想「無刀流剣術大意」に次の言葉がある。

水ノ口中ニ入リ冷暖自知スルガ如シ(みずのこうちゅうにいりれいだんじちするがごとし)

「冷暖自知」は禅の言葉だ。目の前にある水が温かいか冷たいか見ただけではわからないが、手を入れるか飲んでみると自ずとそれがわかる、という意味だ。本を読み、人から聞くだけの借り物の知識でなく、自分自身の行動と体験を重視する考え方だ。真の悟りは修行を積み重ね、自分で会得するものという禅の根本理念といえる。

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