南相馬プロジェクト研究の成果実証 車中キャンプとノンアルイベント

2022年度に南相馬市で実施された南相馬市プロジェクト研究。その結果生まれた事業構想を、同市を舞台に実行に移すトライアルが7月末に実現した。その結果を活かし、地域課題の解決につなげていく。

車中泊キャンプのトライアルの様子。暑さからの避難場所にもなる移動式住居を設置

南相馬市で、2023年7月29日、30日に2つの実証実験が実施された。1つは、「野馬追 防災×車中泊キャンプ」、もう1つは「みんなで一緒に乾杯休憩!南相馬鹿島SA ノンアルテラス」だ。

南相馬市プロジェクト研究の成果
車中泊とノンアル飲料の実証実施

ともに南相馬市プロジェクト研究等実装トライアル実行委員会が手掛けたものだ。福島県南相馬市と事業構想大学院大学は2022年度、地域資源を活用した新規事業の創出や、地域課題を解決する人材の育成を目的に、「南相馬市プロジェクト研究」を実施した。そこから生まれた事業構想を、様々な事業者と協力して、南相馬市を舞台に実行に移した。

「野馬追 防災×車中泊キャンプ」は、南相馬地域最大のイベントである「相馬野馬追」の開催時期における一時的な宿泊施設不足に対する新たな解決策であり、また地震発生時において多くの市民が経験した車中泊避難を訓練することを目的としている。常磐自動車道南相馬鹿島サービスエリア外の駐車場を会場に、普通車15台と移動式住居1台を設置し、17人が宿泊して車中泊における課題抽出と検証を実施した。特に、夏の車中泊で問題になる暑さへの対策を重点的に実施した。具体的には、電気自動車を電源として外付けのモバイルクーラーを設置したり、涼を取れる仮設住居やシャワーを用意したり、周辺の山林に放水して打ち水効果があるかどうかを検証するなどした。このような新たな車中泊の在り方については、今後も委員会方式で研究を進めていく予定だ。

「みんなで一緒に乾杯休憩!南相馬鹿島SA ノンアルテラス」は、ノンアルコール飲料の普及を目指したもの。自動車が主な移動手段となっている地方において、アルコールを飲まない外出や外食の機会が増えれば地域活性化につながる。世界的にノンアルコール飲料の市場が伸びている中で、地域ごとに特徴を持たせたノンアルコール飲料が生まれ、また知名度が上がれば、新しい特産品としての需要拡大や飲酒運転の撲滅も期待できる。

高速道路サービスエリアでのイベントにはノンアル飲料専門店が出店

今回のイベントでは、南相馬鹿島サービスエリア(SA)において、ノンアルコール飲料専門店Cafe MARUKUが厳選したノンアルコール飲料を提供。サービスエリアにおけるノンアルコール飲料のニーズを検証した。イベントには地元のレストランなども出店し、SA利用者は地場の食品をノンアルコールビールやノンアルコールワインなどとともに楽しんだ。

実行委員会の一員でノンアルテラスを構想したトラストバンクでは、今後、南相馬市と共にイベントの結果を検証し、全国各地でノンアルコール飲料の地場産品の開発などにつなげる計画だ。人の移動の促進などにより、地域の地場産業や観光地の活性化を目指していく。