サッポロビール、気候変動に対応した新品種開発に着手

気候変動対策でCO2削減など緩和策を講じる企業が増えるなか、サッポロビールはTCFDに基づき適応策としてビールの味を左右する大麦とホップの新品種開発を開始。長年の研究で培った美味しさ・安全という価値に、環境適応性という新たな価値を付加する取り組みについて聞いた。

渥美 亮(サッポロビール 経営企画部サステナビリティグループ シニアマネージャー)

収量低下の明確化で、環境適応が急務に

サッポロHDは『気候関連財務情報開示タスクフォース』(TCFD)のシナリオ分析結果に基づき、気候変動対策として新品種実用化に向け本格的に始動した。気候変動対策にはCO2排出削減などの「緩和」と、今のあり方を調整し変化に備える「適応」がある。「当社はすでに緩和策は実施していましたが、適応策の必要性も再認識しました」と同社でTCFDのシナリオ分析に携わる渥美氏は話す。

TCFDは気候変動が事業に与えるリスクと機会をステークホルダーに開示する国際的な取り組み。主要国の中央銀行などが参画する金融安定理事会が設置したもので、賛同する企業は年々増加。ESG投資の活発化もあり、金融機関だけでなく事業会社にとっても無視できない存在となりつつある。TCFDでは、不確実な未来に対応すべく、気候科学をベースとして平均気温が2℃上昇するケース等を軸に複数のパターンを想定し、各ケースにおける事業戦略を描くシナリオ分析も求められている。

一般に、ビールの味は、大麦やホップ等の原材料の品質に大きく左右される。気候変動がこれら原材料に与える影響を予測すべく活用したのがシナリオ分析だ。

まず、国連食糧農業機関のシナリオ分析等のデータを基に、気候変動要因、経済社会要因、生産量に関する要因がそれぞれ異なるパターンを設定。サステナビリティが「進展」「標準」「停滞」する3つのシナリオについて、2050年までの収量変化を想定した。

分析によると、地域により差はあるものの気候変動が収量に与える影響は大きく、産地が変わるなどの未来図も見えてきた。また、化学肥料等の規制強化が収量へのマイナス要因となるなど、新たな気づきもあったという。

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