投資に関連する制度は未熟でも 個人でスタートアップファンド設立

日本で初めて、スタートアップ投資を専業とした日本テクノロジー・ベンチャー・パートナーズ(NTVP)。連載第4回では、村口和孝氏が1998年に同社を創設するに至る動機と経緯、ファンド設立当時の状況を紹介する。また、米国と日本の制度の違いが、スタートアップ・エコシステムに与えた影響も考察する。

当連載、第2回と第3回で紹介した2社、アインホールディングスとジャパンケアサービスはJAFCOの投資先としては数少ないスタートアップだった。この事例には事業の立ち上げや新しいプロジェクトに早い段階から関わり、アドバイスをしながら投資をしていくという村口氏のVCとしてのこだわりが表れている。

実際のところ、JAFCOの投資に対するスタンスは、投資基準も「中小企業の上場予備軍探し」だった。当時のJAFCOは「VC株式会社」であり、社内の審査会議でのチェックや意思決定が多数決であることなど、典型的な株式会社の意思決定プロセスとガバナンス様式を持ち合わせていた。これは、村口氏が理想とするスタートアップ投資の形からは程遠いものであった。

インターネットに沸く90年代
独立しスタートアップ投資を開始

そんな中でもできる限り規模の小さい、業態もまだ定まっていない事業を探し当て、取締役会を説得し、不確実・未知なフロンティア領域の最前線投資を実現しようと努力するという、矛盾に満ちた組織活動を14年ほど続けてきた。だが、戦後続いてきた社会主義的な中小企業投資を覆し、スタートアップ投資を日本で復活させ、時代に合わせて最適化するには何らかのきっかけが必要だった。そこに到来したのがインターネットだ。

村口氏は早くから海外にアンテナを張っており、大学4年のときにはシリコンバレーに出かけ、独立するまでに10回ほど訪れていた。1990年代後半、米国ではインターネット関連事業が次々と生まれていた。当時最も注目されていたNetscape社は、立ち上げからたった16カ月でIPOに至った。村口氏はインターネットという新しい世界での企業育成にはスピード感が全てだと直感。野村証券の「野村週報」に日本の投資市場に対する警告のコラムを書いた。この中で同氏は、インターネットが普及する時代には、スタートアップをたちまち上場させて市場を制覇するモデルがシリコンバレーの常識になりつつあると綴った。そして早速Netscape社のモデルを勉強し、日本でもネット事業に手を伸ばそうとした。

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