ベッドメーカー対決 パラマウントベッドvsフランスベッド
高齢化の進行に伴って、健康に直結する快適な睡眠の重要性はますます高まり、一般向け、医療・介護向けのベッドや福祉用品を開発するメーカーにかかる期待も大きい。大手ベッドメーカー2社の今後の戦略を見る。
高齢化社会のQOL向上を目指すベッドメーカー2社
高齢化の進行とともに、心身の健康や生活の質に直結する睡眠の重要性は、ますます高まる。家庭、医療・介護、観光など、様々な分野で快適な眠りを提供するベッドメーカーの役割は大きい。国内ベッドメーカー大手2社、パラマウントベッドHDとフランスベッドHDは、超高齢化が進む未来に向けて、どのような戦略を立ててているのか。
パラマウントベッドは1947年に病院用ベッド専業メーカー「木村寝台製作所」として創業した。病院の建設ラッシュ、医療用ベッドのニーズ拡大とともに量産体制を確立し、背起こしなどが可能な「ギャッチベッド」、国産第1号となる電動ベッドなどを開発した。1980年代には高齢者施設や在宅介護分野にも事業を拡大し、業界初の在宅介護用ベッドも開発している。近年では、上質な眠りを提案する健康領域の新ブランド「Active Sleep」、NTTとともにオンラインヘルスケアサービスを提供する「NTT PARAVISTA」も設立するなど、先端技術による健康改善提案にも積極的で、ベッド等の点検・メンテナンス、福祉用具レンタル卸事業など、国内外において事業の多角化に取り組む。
現在、「新中期経営計画」の第IIフェーズのもと、病院向け常駐サービス、福祉用具レンタルなど、継続課金による国内事業の売上高比率を45%とすることなどを目指す。睡眠改善型製品、健康寿命製品の拡充も大きな柱で、健康事業売上高50億円超が目標だ。また、ASEAN、インドなどを中心にいち早く拠点を整備していることから、海外売上高を150億円規模に拡大することも目標にしている。2022年10月には、SBインベストメントとともにCVCも設立、健康領域のスタートアップへの投資も積極的に進める。
一方、フランスベッドは1949年に「双葉製作所」として創業、50年代には日本初の分割式ベッドを製造している。1963年には医療機器レンタルのフランスベッドメディカルサービスが設立され、2009年にフランスベッドと合併して今日へ至る。80年代には日本初の福祉用具レンタル事業を開始して、早くから医療、介護分野でのビジネスを拡大してきた。2011年には、安心・安全で使いやすい製品づくりによって高齢者の生活を支えるブランド「リハテック」を設立、誰もが安心して乗れる電動アシスト三輪自転車なども含めて、全国展開する「リハテックショップ」で販売する。
現在、2024年3月期を最終年とする中期経営計画のもと、メディカルサービス事業では福祉用具レンタルへの経営資源集中、健康事業では時代に合った商品展開などを重点に、さらなる成長を目指している。具体的には、レンタル卸事業者向けの新たな介護ベッド「RaKuDa」、眠り解析センサー「M-Sleep Bio」の市場投入などを計画する。海外事業では、高齢化が進む香港やシンガポールでの市場開拓を目指し、最終年度の売上高目標を504億円に設定する。
両社が共通して掲げる大きなテーマは、レンタル事業の拡大による医療・介護分野の収益力向上と、眠りの状態をセンシングして健康改善につなげるシステムの拡充だ。長い歴史に培われた技術とノウハウをふまえ、医療・介護の質、眠りの質の総合的な向上に貢献する両社の今後の展開に期待したい。
両社の概要
パラマウントベッドホールディングス
設立 | 1982年(創業1947 年) |
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本社 | 東京都江東区 |
代表 | 木村 友彦(代表取締役社長) |
資本金 | 42億円 |
従業員数 | 連結:3, 946名 |
主な 事業内容と グループ会社 |
●医療・介護用ベッド、マットレス、器具備品等 の製造・販売(パラマウントベッド) ●製品等の点検・メンテナンス(パラテクノ) ●福祉用具のレンタル卸(パラマウントケアサービス) ●住宅設備、家具資材等製造・卸売(サダシゲ特殊合板) ●医療・介護・健康領域のスタートアップへの投資 ( 「PARAMOUNT BED-SBI Healthcare Fund」) ●海外グループ会社8社(インドネシア、中国、ベトナム、 インド、タイ、メキシコ、米国) |
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