樹脂成形の老舗 長年の技術の蓄積を生かし可能性を広げる

天昇電気工業は1936年に創業し、1961年に東証に上場した樹脂成形加工の老舗企業だ。自動車、OA・家電向けにプラスチック製の部材を製造してきた。車体の軽量化が求められる自動車のハイブリッド、EV化は同社にとって大きなチャンスだ。オリジナルな製品の自社開発にも注力している。

藤本 健介(天昇電気工業 代表取締役社長)

自動車向け樹脂成形が主力
技術力とデザイン性に強み

天昇電気工業は1936年の創業。木製だったラジオのキャビネットに初めてプラスチックを取り入れたことでも知られる。昭和期には、自社ブランドでトランシーバーや留守番電話、携帯型オーディオを自社開発して家電製品として販売していた時期もあった。2024年6月、新社長に就任した藤本健介氏は「天昇電気工業には、開発型企業としてのルーツがあると言えます」と説明する。

同社の強みは、合成樹脂の成形加工を数多く製品化する過程で培った技術力。現在は主にB to Bで幅広い製品を製造し、上流の設計、金型から下流の加飾工程(表面を塗装したりフィルムを貼ったりして意匠性を加えること)までを手掛ける。

かつて得意としていたのは、家電メーカーの依頼で生産していた、高級感のあるテレビの外装材や樹脂製部品だ。1970年代から大型カラーテレビのキャビネットを手がけていたことから、テレビ向けの筐体やさまざまな樹脂部材の生産を実施していた。2000年代に入ってからは、大手家電メーカーの液晶テレビ向けの様々な樹脂部品を手掛けたことで業績を伸ばす。しかしその後、2010年頃を境に韓国、中国などのアジア勢メーカーの台頭により、国内メーカーの液晶テレビからの撤退が相次ぎ、天昇電気工業のビジネスも失速を余儀なくされた。

この時期には業績が悪化したものの、もともと持っていた自動車向け用途を育成・拡大して、事業を回復軌道に乗せた。直近の2024年3月期の売上高約270億円のうち、約200億円を国内市場向け、70億円を海外市場向けが占める。また、国内の200億円の売り上げのうち、約70%を自動車関連が占め、OA・家電関連、自社製品が15%ずつとなっている。

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