2025年は国連海洋会議と万博の開催年 海洋課題解決へ共創

海洋は国と国を隔てる境界であると同時に、世界をつなぐ架け橋でもある。海洋資源の枯渇や環境汚染、国際的な権益争いが進む中、「海は人類共通の財産である」という考え方が重要になってきた。笹川平和財団はこれらの課題に向き合い、海洋を通じた平和な世界の実現を目指している。

聞き手 : 小宮信彦 事業構想大学院大学 特任教授/電通 シニアイノベーションディレクター

海洋の持続可能性を議論し、行動に結び付けるために、様々な国際会議や国内イベントで登壇する角南理事長

小宮 まずは笹川平和財団についてのご紹介をお願いします。

角南 当財団は1986年に設立された国際交流および国際協力の推進を目的とした民間の公益財団法人で、21世紀の人間社会の複雑化・多層化した課題や地球の自然的・社会的危機に対応すべく、必要な事業を実施・支援しています。激動の世界のなかで、多様なアクターとともに新しい国際社会をデザインし、様々な課題の解決をリードすることを目指し、2024年度以降、5つの重点目標に取り組んでいます。その1つが「海洋を通じた平和な世界の実現」です。

小宮 海洋をめぐる様々な課題の解決に際し、世界はどのように向き合おうとしているのでしょうか。

角南 現在、世界は、「海は人類共通の財産である」という考え方に大きく転換しようとしています。人類はその歴史が始まった当初からごく自然に海と向き合い、海から魚やその他必要な資源を自由に取り出し、それが生活と一体化してきました。

ところが近代化が進み船などが開発されたことによって、海とは縁が薄かった国が海を支配しようとする動きが活発化しました。各主体がそれぞれ独自に海を管理し始めると、さまざまな弊害が生じてきました。

そして今、海洋が国家間の権益争いや密漁・海賊などの犯罪の場となり、人為的・自然的な様々な要因により海洋環境が脅かされている状況にあります。

海洋は、陸と陸の間に横たわり国や地域を隔てる一方、国と国や地域と地域を結びつける重要な役割を果たしています。また、生命の源である水、生態系、様々な物質をもたらし、同時に環境を調整する機能を有しています。改めて海洋の持つ役割に思いを至らせ、人類を含めた生命体全体の共有財産であるという考え方が重視されるようになってきました。

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