地銀グループ対決! ふくおかFG vs コンコルディアFG

人口減少・高齢化の進行、地場産業の衰退、社会・経済のデジタル化など、地方銀行を取り巻く環境は大きく変容し続けている。九州エリアで存在感を増すふくおかFG、人口が集中する関東エリアに根ざすコンコルディアFG、二つの地銀グループの戦略を探る。

「選ばれる銀行」を目指してDXを進める地方銀行2行

人口減少・高齢化の進行、地場産業の衰退、社会・経済のデジタル化など、地方銀行を取り巻く環境は大きく変わり、今後も変わり続けることが予想される。地方銀行は今、経営統合を繰り返しながら、DXを強力に推進することで逆流に立ち向かおうとしている。

九州エリアでは、福岡銀行と熊本銀行などの経営統合から生まれたふくおかフィナンシャルグループが存在感を高めている。2022年4月に始まった第7次中期経営計画では、個人向けバンキングアプリや法人向けポータルなどのデジタルチャネルの充実化によって、2024年度に個人デジタル顧客数150万人、法人ポータルユーザー2万5000社とすることなどを今後の重点施策として掲げた。

同グループの今後の方向性を指し示すのは、国内初のデジタルバンクとして2021年からサービスを開始した「みんなの銀行」だ。デジタルネイティブ世代をターゲットとするスマートフォン専業の銀行で、ダウンロード数は2022年6月時点で110万件と、前年12月の58万件から倍近くに伸び、預金残高も44億円から125億円に急増している。地理的制約がない業態であることから、現在最もユーザーが多い地域は東京や大阪となっている。今後の地方銀行のあり方を考えるうえで、大きなヒントをもたらす存在といえる。

一方、神奈川や東京など人口が集中する関東エリアでは、横浜銀行と東日本銀行の経営統合によって、2016年にコンコルディア・フィナンシャルグループが誕生した。貸出中心のビジネスからソリューションビジネスへの転換、業務改革や店舗網の再構築といった当初の経営計画を経て、2022年を起点とする新中期経営計画では「Growth」、「Change」、「Sustainability」の3つを基本テーマに掲げる。ソリューションビジネスの深化と拡大、人員体制のスリム化や店舗統廃合の推進などが主な取り組みで、地域の産業を支えるパートナーとしての地方銀行の役割を強化することが、その目的だ。

具体的には、スマートフォンアプリや法人ポータルによる非対面取引を拡充し、店舗はコンサルティング機能に特化するなど、デジタル接点を起点にした案内・相談に注力しながら、非対面・対面の両チャネルを効率的に活用する。法人ポータルでは、フィンテック企業とオープンAPIで連携して、口座情報の一元化や顧客管理の高度化を進める。

時代がどのように変わろうとも、地方銀行が地域に必要欠くべからざる存在であり続ける。そのためには、高度で実効性のあるDXを推進しなければならない――。両グループとも、その認識に立って変革を急いでいる。

両社の概要

ふくおかフィナンシャルグループ

設立 2007年
所在地 福岡県福岡市
代表 五島 久(代表取締役社長)
資本金 1, 247億円
従業員数 連結:7, 830名(2022年3月)
事業内容 ●銀行業 ●その他、証券、保証、事業再生支援、
債権管理回収、リース等
グループ会社 ●福岡銀行●熊本銀行●十八親和銀行●みんなの銀行
●連結子会社 計26社
●本支店:414店舗、出張所:14ヵ所、海外拠点:8ヵ所

出典:ホームページ(会社概要)、有価証券報告書

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