M&A仲介事業者と連携 地域のビジネスを承継で残す

人口が減っている地域において、後継者の不在から事業継続を断念する店舗や企業を減らす策は何か。ライトライトの事業承継プラットフォーム「relay」は、情報を積極的に開示して、後継者探しに貢献している。4月には、M&A仲介業のストライクと提携、同社のネットワークを小規模事業者の事業承継に生かす。

ストライク社長の荒井 邦彦氏(左)と、ライトライト社長の齋藤 隆太氏

人口減少に苦しむ地方では、地域のインフラともいえる商店や企業が、後継者の不在による廃業に直面している。経済活動の鈍化につながるこの問題を解決するため、地域の小規模な事業と後継者候補をマッチングするプラットフォーム relay(リレイ)を運営しているのがライトライト(宮崎市)。2022年4月には、M&A仲介事業を行うストライクと資本業務提携契約を締結、累計1.3億円を資金調達した。

小規模事業者のM&Aは
情報公開のメリットが大きい

中小企業白書によると、2020年に休廃業・解散した約5万社のうち、6割は直前期には黒字だった。事業を引き継ぐ企業や人がいれば、経済活動に貢献できた企業も多く含まれると見られる。後継者の不在を理由に廃業する企業を減らすことは、日本の経済にとっても重要だ。

ライトライトが運営するrelayの特徴は、誰が・どこの場所にある・何の事業を・いくらで売りたいのか、どのような想いでその事業を運営してきたのかといった情報を、ウェブ上に実名で公開している点だ。また、M&Aの際の売り手側の手数料を無料にしている。手数料が工面できず、通常のM&A仲介事業者のサービスを利用できないような小規模事業者でも、後継者を探すチャンスを得られるようにするためだ。

ライトライト社長の齋藤隆太氏は「地域に必要とされている小規模事業者が、財務的な面だけで評価され、望まない廃業をしていく現状を変えるべきと考えています」と説明する。

企業のM&Aにおいて秘密保持は最重要要素であり、「売り手」の身元を明かすことはタブーとされている。それは、従業員や取引先に不安を与え、競争相手との関係上でも不利になることが予想されるためだ。しかしrelayで後継者を探している中小事業者は、家族経営のごく小規模な事業者が多いため、このようなリスクはほぼない。

ストライク社長の荒井邦彦氏は、「通常のM&Aのプロセスは、秘密を保持しながら進めますが、小規模事業者では実名で公募するメリットは大きい。取引先が限定されていたり、従業員が少ないケースが多いため、公開して進めたほうが後継ぎが見つかる可能性が広がるためです。ストライクの事業では対応が困難な小規模事業者をご支援することができるので、提携して応援したいと思いました」と話した。

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