データ活用で動き出した次世代の広聴とは 行政DXで注目される効率化

自治体において重要な広聴を、多忙な中でも効果的に実施したい。デジタルの力を使えば、より簡単に、市民に届く情報提供が可能になる。既に多くの自治体で使われているヤフーのデータ・ツールを紹介する。

大屋 誠 ヤフー データソリューション事業本部
パブリックエンゲージメント部 部長

「広聴(行政サービスの利用者・関係者の理解)が、行政DXにおいて、改めてクローズアップされています」と、ヤフー データソリューション事業本部パブリックエンゲージメント部 部長の大屋誠氏はいう。

誰もが簡単に扱えるツールが必要

行政DXの目的には「1人ひとりのニーズに合わせた行政サービス提供」があり、そのためには「タイムリーな利用者理解」と「結果活用の仕組みづくり」が必要だ。変化が早く、多様化する社会で効率的に利用者のニーズを把握するために、デジタルの力を活用することは重要な要素となってくる。

しかし、ITサービスを活用し、人材育成や業務の見直しも行いながら、データを活用した意思決定が組織として回っていくような仕組みを構築するのは、一朝一夕にできるものではない。

「忙しい業務の中でタイムリーな広聴を細やかに行っていくには、誰でも簡単にできるしくみを整備していく必要があります」。

そこで、ヤフーが提案するのが「DS.INSIGHT」。ヤフーの保有する行動ビッグデータ(検索と位置情報)を分析できるリサーチツールだ。

「DS.INSIGHT」には、主に2つの機能がある。1つはヤフーの検索データを元に生活者の興味・関心を分析することができる「DS.INSIGHT People」、もうひとつが、ヤフーの位置情報・検索データを元に特定エリアにおける人口動態や特徴検索などがわかる「DS.INSIGHT Place」。どちらも、ヤフーのビッグデータを活用し、データサイエンティスト不要のリサーチツールとして作られている。

「DS.INSIGHT」、3つの特長

「DS.INSIGHT」の特長は大きく3つ。1つは、年間アクティブユーザー数約8000万人の大量かつ広いカバレッジでサイレントマジョリティを取り逃さない分析を可能とすること。2つ目がスピード。その場で結果を迅速に把握するとともに、膨大なデータを翌日には利用でき、直近のイベントや災害状況の確認にも役立つ。また、過去データとの比較ができ、例えばコロナ禍以前のデータとの比較検証も可能だ。そして3つめが、興味関心の把握。アンケートでは把握しにくい潜在的な関心をビッグデータから把握できる。

既に、全国の多くの自治体で採用されている「DS.INSIGHT」。データ利用の進化に伴い、活用の幅は人流分析以外にも広がっている。兵庫県西宮市では、検索データを活用し、東京都の居住者について、非常事態宣言とあわせて検索されたキーワードを分析。緊急事態宣言時に住民の不安や関心がどこへ向かうかを予め予測し、西宮市で緊急事態宣言を発令する前に必要な情報などを住民へ向けて発信した。

一方、岐阜県大垣市では、「DS.INSIGHT」のアカウント75ライセンスを65課に配布。全47ページの分析事例集を共有し、データ利用促進を推進している。「DS.INSIGHT」では、分析結果は全てURLで共有することができ、比較的アクティブな情報共有方法も可能だ。

「行政DXの成功はデジタル人材育成とユーザー中心の業務プロセス改革が要諦です。ヤフーのビッグデータを活用することで、デジタル化途上でも、並行してデータ活用の人材と業務風土を作ることができます」と大屋氏は話した。

 

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