日本旅行 課題解決へと広がる事業の幅 旅行会社の価値を追求
今年、創業120周年を迎える旅行会社として、日本におけるツーリズム産業発展の一翼を担ってきた日本旅行。近年は、着地型の観光コンテンツで地域を盛り上げると同時に、交通・宿泊施設が抱える人手不足を解決する事業を本格化させている。2025年6月に社長に就任した吉田圭吾氏に目指す姿を聞いた。
吉田 圭吾(日本旅行 代表取締役社長 兼 執行役員)
明治時代に善光寺ツアーを発案
コロナ禍で事業を再編
日本旅行は1905年、滋賀県草津町(現草津市)で南新助氏が創業した。1908年に、国鉄の貸切臨時列車による善光寺参りの団体旅行を企画・実施し、これが日本の旅行業の発祥の1つとされる。「当時の大阪周辺の人々は東京、善光寺へのあこがれが強く、要望に応えて東京を経由して長野へ直通で行く列車を国鉄と調整して実現し、900人近くが参加されたようです。途中立ち寄った土地の名産品をふるまい、ガリ版を持ち込んで日々の出来事を車内新聞として発行したとも聞いており、お客様を誠心誠意もてなすという精神は創業当初から根付いています」と代表取締役社長兼執行役員の吉田圭吾氏は語る。
1966年に国鉄から出資を受け、国鉄定期乗車券の受託発売を開始するなど国鉄との関係を強化。旅行がブームとなった1970年代には海外旅行企画商品「マッハ」、国内旅行企画商品「赤い風船」を発売した。西日本旅客鉄道(JR西日本)の旅行業部門(TiS)との統合を経て、2002年にJR西日本の連結子会社となった。
コロナ禍後に、それまでの個人旅行営業をツーリズム事業、法人旅行営業をソリューション事業に再編。後者は、地域誘客だけでなく社会課題解決に向けた取組までを担う自治体向け、報奨旅行や会議、研修、展示会の企画・運営などを行う企業向け、学校向けの教育事業やインバウンドも含まれる。
地方創生につながる
旅行コンテンツを開発
特に地域の活性化につながる旅行商品の企画・開発は同社の得意とするところだ。例えば、2024年3月に北陸新幹線が金沢~敦賀間で延伸開業したタイミングをとらえ、福井県の5校の高校生に修学旅行生を呼び込むための観光コンテンツを開発してもらうプロジェクトを実施した。同社では、全国の高校生を対象に、地域のサステナブルな取組をまとめた論文を公募、優秀校を国際会議「サステナブルブランド国際会議」に招待する取組を以前から進めており、同プロジェクトはその派生版といえる。
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