100年の技術力がコア 電子・健康・環境分野を重点に

太陽電池向け多結晶シリコン事業で巨額の損失を出して以降、経営再建に注力してきたトクヤマが、成長路線へと踏み出した。2021年度を初年度とする中計で、事業ポートフォリオの転換を打ち出した横田社長に、エネルギー多消費型から価値創造型企業への転換を目指す、同社の成長戦略と今後のビジョンを聞く。

横田 浩(トクヤマ 代表取締役社長執行役員)

トクヤマは、ソーダ灰、苛性ソーダなどの化学製品やセメントなどの事業で知られてきた企業だ。これらの伝統的なビジネスに加え、近年では最先端の半導体製造を支える電子工業用高純度薬品や放熱材料等の電子材料分野、メガネ関連材や歯科器材などのライフサイエンス分野、廃棄物の再資源化を含む環境分野にも進出している。

脱炭素の影響大きく
ポートフォリオ転換は待ったなし

トクヤマでは2021年2月、会社の存在意義を再定義。「化学を礎に、環境と調和した幸せな未来を顧客とともに創造する」とした。これには、同社を取り巻く事業環境の急速な変化がある。同社では長く、セメントや化学製品などエネルギー多消費型事業を競争力の源泉としてきたが、産業構造の変化、人口減少による国内需要の縮小、環境意識の高まりにより、事業の再構築が必要不可欠となっている。

新たな存在意義とともに策定した「中期経営計画2025」では、変化の潮流を捉え、ポートフォリオを大きく転換することを重点課題と設定。電子材料・ライフサイエンス(健康)・環境事業を新たな成長事業と位置づけ、マーケティングと研究開発を基軸にした価値創造型企業への転換を目指していく。同中期経営計画では、重点課題として上記の①事業ポートフォリオの転換の他、②地球温暖化防止への貢献、③CSR経営の推進を掲げる。脱炭素に対しては2030年度にCO2総排出量を30%削減(2019年度比)、環境貢献製品の開発などにより2050年度にはカーボンニュートラルの実現を目指す。 

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