24年春に新コース始動 日本の活性化に不可欠な事業承継研究

日本の中小企業者358万社の目下の課題の大半は、事業承継およびM&Aとされる。事業構想大学院大学は、2024年春、事業構想専攻「事業構想コース」に加えて、新たに「事業承継コース」を設置する。

東 英弥(学校法人先端教育機構 理事長)

事業承継における課題

2012年の開学より遡って、事業構想大学院大学自体の構想を考える際から、事業承継の研究と教育は大きな柱の1つでした。承継には親族、従業員間、第三者、M&Aなどの種類があり、国や自治体、金融機関もその支援に力を入れています。成功事例が創出される中、承継のプロセスやマッチング、承継後の成長については個々に課題があります。

承継を考える企業は、幾年もの歴史と数々の経営資源を有し、地域社会に根ざす存在です。事業が続いてきたのには理由がありますが、この先も成長を続けていくためには、社会情勢や市場の概況、顧客の変化に気を配り、進むべき方向を考えていかねばなりません。事業を大切に思う創業者の気持ちと共に、会社を支えてきた人たち、現在支えている従業員たちを大事にする。そのためにもスムーズで適切な承継が必要なのです。

企業にとって大切なことは、雇用を守ること、そして従業員のモチベーションを高め続けることです。社長が構想を考え、新たな構想に基づく経営管理のあり方を定め、構想計画を練って実現していく一連のプロセスの中で、承継の先の成長が見えてきます。本学ではそれを明確に教育で担っていきます。

事業を託す側、引き受ける側、仲介する事業者、コンサルティング・指導を行う方々も専門を活かしながら検討を重ね、理想を追求しているでしょう。私どもは高等教育機関として、本分野で尽力をされる行政、金融機関、支援企業の方々と共に事業承継を発展させ、第二・第三創業、ひいては日本を活性化していきたいと願っています。

教育内容と計画

承継者においては、構想で承継を進めることを軸に、自社が社会を取り巻く環境に適応しているか、市場の中で不足しているものがないか、現実の中で黒字化を続けるためには何が必要かを考え、分析をします。経営資源の量や規模の大小は関係なく、しかし、継いで担い手になる意欲とモチベーション、チャレンジをしようという気持ちが条件です。

その上で、企業理念の明確化、ステークホルダーからの期待の理解、社会における存在価値の追求を行いながら、商品開発を考えます。その後の多角化等の事業戦略も策定します。

事業を始めたからには、継続していく責任があります。経営資源を活かして新事業を考え、顧客を開発し、利益をあげていくには、世の中の変化と共に進化をしないといけません。そのためにも経営者個人のみでなく、複数で見て考えることが有利です。共に考える幹部、社員、仲間と力を合わせ、人脈を広げて研究を深めます。

構想の研究をすると、自身の考えに近い承継者に出会う機会があり、そこからのマッチングも1つのビジネスモデルになります。

事業承継における新しい経営の研究に注力することを機に、日本各地で同じ問題意識をもって挑む方々と共に発展をしてまいりたいと思います。

 

事業構想大学院大学
事業構想研究科 事業構想専攻
事業承継コース(2024年4月開設)

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