デジタル技術を駆使して実現する未来の歯科診療
(※本記事は経済産業省近畿経済産業局が運営する「公式Note」に2025年9月3日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)

XR(※)を活用して社会課題の解決に取り組む企業や、大阪・関西万博を契機にXRがさらに広がりを見せる様子に注目する「シリーズ:XRが拓く未来社会 〜万博で見えた可能性〜」としてお届けします。
※XRとは、AR(拡張現実)、VR(仮想現実)、MR(複合現実)といった、現実の物理空間と仮想空間を融合させて、新たな体験を創造する先端技術の総称。
第2回は、最新のテクノロジーを駆使して歯科業界の変革に取り組む「株式会社Dental Prediction(デンタル プレディクション)」をご紹介します。
歯科医療の精度と安全性を高めるXR技術
2025年6月、大阪・関西万博の大阪ヘルスケアパビリオンにて、大阪産業局主導のもと「みんなで考える未来の街プロジェクト」をテーマに、コミュニケーション・働き方・ヘルスケア・学びに関する技術やアイデアが集まりました。

その中で「XR技術やAI相談で実現する未来の歯科診療」に関する展示を行っていたのは、株式会社Dental Prediction。ARや5Gなどの先端技術を活用し、歯科医療が抱える課題の解決・改善に取り組む歯科領域のヘルスケアスタートアップであり、口腔ケアを通じて全身の健康維持に貢献し、健康寿命の延伸という社会的課題の解決を目指しています。
同社は、特許取得済みの3Dデータ解析技術を用いて、オーダーメイドの口腔内3DデータやARコンテンツ及び3D模型を作成するサービス「DenPre 3D Lab」(デンプレ3Dラボ)を展開しています。
歯科手術のトレーニングでは一般的にマネキンが使われますが、実際の手術とは大きく異なります。歯科医療では、患者の口腔内を正確に把握できるのは術中が初めてというケースも多く、医師の経験値が治療の結果を左右する場面も少なくありません。その経験値の差を補ってくれるのがDenPre 3D Lab。患者の口腔内をAR空間上に再現することで、術前にリアルなシミュレーションを行うことが可能となり、事前準備の精度向上や医療事故のリスク低減に資する技術としての活用が期待されます。
患者との認識合わせもARでスムーズに
患者への術前の説明では、レントゲン写真ではなくARの技術を活用し、歯の内部構造を可視化しながら説明を行います。そうすることで正確な認識合わせを行うことができ、安心して治療に臨んでもらえます。

歯科診療アプリで一般の方にもアプローチ
また、歯科医院向けの技術だけでなく、一般の方々に向けたサービスの展示もありました。
無料の歯科健康相談アプリ「mamoru(マモル)」では、歯科医師や歯科衛生士が監修したAIモデルを活用し、時間や場所を問わず気軽に歯科医師に相談したり、最寄りのクリニックを予約したりすることができます。
このアプリを通じて、歯の健康や予防医療への関心を高め、社会全体の健康寿命の延伸にも寄与することが期待されます。

技術の融合がもたらすシナジーとより豊かな歯科医療の実現へ
口腔内3DデータやARコンテンツ及び3D模型を作成するサービス「DenPre 3D Lab」と歯科健康相談アプリ「mamoru(マモル)」は、それぞれ異なる対象に向けたサービスですが、患者側は、予防・相談・予約を通じて、早期の受診と健康意識の向上促進を図ることができ、歯科医師側は、精密な術前シミュレーションと説明支援により、診療の精度と安全性の向上に寄与することが期待されます。このように、患者と医師の双方にとってメリットのある技術が連携することで、歯科医療の未来がより明るく、より安心なものへと進化していきます。
デジタル技術を活用し、複数の側面から歯科医療の質の向上に取り組む株式会社Dental Prediction。医師のスキル向上、患者の理解促進、健康寿命の延伸など、XR技術がもたらす可能性を大きく感じました。
元記事へのリンクはこちら。

- 近畿経済産業局 公式note