自治体と民間企業、地域住民の共助 持続可能な買い物サービスを実現

人口減少が進む地方では、流通機能や交通網の弱体化をはじめ様々な理由で日常の買い物機会が十分に提供されないことが問題となっている。課題解決へ向け、奈良市では自治体と企業、地域住民が一体となり、新たな買い物支援サービスを生み出している。その独自の取り組みにスポットを当てる。

奈良市月ヶ瀬行政センターの光保謙治氏

奈良市山間部の課題
買い物の利便性を向上

2024年3月、奈良市東部地域において、新たな買い物サービス「おたがいマーケット」が始まった。サービスの対象地域となる奈良市東部の山間地域に居住するのは市内人口の約3%、同地域の住民は20~30分かけて自家用車などで市街地まで買い物に行く。様々な理由で移動が困難な住民に対しては、移動スーパーや宅配サービスなどもあるが、例えば、東端の月ヶ瀬エリアなどは距離の問題があり、既存のネットスーパーでは生鮮食品や冷凍品の配達は困難となっている。

奈良市月ヶ瀬行政センター(日本郵政より出向)の光保謙治氏は、「人口減少で税収も増えないなか、奈良市では、自助・公助に加え共助をキーワードとして掲げています。買い物に関しては、個々人の自家用車で町に出るのが通常ですが、これを協力しあい、地域内で完結できないかというのが、『おたがいマーケット』を発想した背景です」と話す。

同サービスでは、イオンネットスーパーの生鮮食品や冷蔵・冷凍食品、日用品、医薬品、酒類などを、日本郵便が日々運行する集配車両や既存配達動線を活用し、受取拠点まで運ぶ。現在のところ、受取拠点は月ヶ瀬ワーケーションルーム ONOONOと須川郵便局の2か所となっている。利用者は、あらかじめ日本郵便による「おたがいマーケット」に会員登録し(月額1500円・税別)イオンネットスーパーで注文・支払をすませ、受取可能時間内に各拠点から注文した品物を持ち帰る。

日本郵便の既存配達同線を利用した「おたがいマーケット」

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