テレワークの壁、「電話」の新常識 シスコシステムズ

自治体でも在宅業務を中心としたテレワークの導入が加速しているが、電話環境がテレワーク推進の壁になるケースが多い。シスコシステムズのクラウドPBX「Webex Calling」は既存の固定電話番号をそのまま利用でき、PBXと変わらない充実した電話機能を搭載する。

泰道 亜季 シスコシステムズ コラボレーション事業パートナー&クラウドコーリング営業部 部長

旧態依然とした「電話環境」は
働き方改革の最後の砦

自治体においてもテレワーク文化が徐々に定着しつつある。総務省の調査によると、導入形態は「在宅勤務」が93%と最も高く、「サテライトオフィス」が38%、「モバイルワーク」が23%となっている。テレワーク時にはメール、スケジューラー、Web会議、チャットなどのツールが活用されていることが分かった。

一方、時間や場所に制約されない働き方を進める上で、自治体を悩ませているのが電話環境だ。「公用電話アプリ」の活用は1割以下と、多くの職員が自席の固定電話に縛られている様子が垣間見える結果となった。

シスコシステムズの泰道亜季氏は「メール、スケジューラー、Web会議などはいずれもクラウドベースのため庁外でも使用できますが、電話は従来のまま、もしくは限られた職員に携帯電話を配布するにとどまるのが現状です。当社が各自治体に、テレワークを実施する上での課題をヒアリングしたところ、『部門代表への電話や庁舎から転送された電話が取れない』『庁内に内線電話が掛けられない』『自宅から外線発信ができない』『庁内業務時とテレワーク時で電話番号が変わる』といった悩みの声が多く上がりました」と話す。

このような問題が発生するのは、多くの自治体が電話回線設備に、固定電話の利用を前提としたレガシーなPBX(電話線を用いて電話同士を接続する電話交換機)を導入していることに起因する。そもそもPBXは、拠点・建屋ごとに物理的な機器を設置する必要があり、異動や座席変更ごとに内線電話の設定を見直す手間が発生し、数年ごとに買い替えやコストも必要となる。「働き方改革の最後の砦」である電話環境を見直すことは、更新・運用の負担軽減という面でも大きな意味を持つ。

庁舎の電話番号を使い、
どこでも業務を継続

こうした課題を解決するのがクラウドPBXだ。これは文字通り、クラウド上でPBX機能を提供するサービスで、サーバなど物理的な機器を用意する必要はない。メンテナンスや障害対応はベンダーが行うため、真の脱オンプレミスが実現する。インターネットに接続できる環境さえあれば、専用アプリをインストールした端末を使い、庁舎の固定電話番号から内線・外線・転送などの機能を利用できる。

クラウドPBXの代表的なサービスが、シスコシステムズの「Webex Calling」だ。

図1 Webex Callingの特徴

出典:シスコシステムズ

 

図2 Webex Calling で利用できる端末

出典:シスコシステムズ

 

一般的なクラウド電話の場合、導入時に電話番号の変更が必要となるが、Webex Callingは既存の固定電話番号(0ABJ番号)をそのまま利用できる。さらに、スマホやPC、タブレットといったマルチデバイスに対応し、庁内では自席の固定電話を、自宅ではアプリをインストールしたBYOD端末(私用端末の業務利用)を使って同じ番号で通話できるため、出庁×テレワークのハイブリッド型ワークスタイルの実現も可能となる。

さらに、専門業者に依頼することなく、担当者が運用管理を簡単に行えることも見逃せないメリットだ。電話機やソフトフォンのユーザー登録などは、ブラウザからアクセスできる管理画面から設定及び変更が可能。通話回数、通話時間、通話品質などの利用状況も、管理画面のダッシュボードで一覧表示できるため、「いつ、誰が、どれくらい通話をしていたのか」「通話の品質に問題がないか」などを容易に把握できる。「これらの詳細な情報を予算要求資料として活用するなど、運用コストの最適化にもお役立ていただけます」と泰道氏は費用面でのメリットを強調する。

自治体ごとに
最適なプランを提案

自治体がWebex Callingを導入する場合、その方法は次の3つに集約される。1つは、すべての電話機能をWebex Callingに完全移行するパターンだ。「PBX 機能はWebexクラウドで提供されるため、PBXの構築や機器に掛かる費用は不要となり、運用コストが削減できます」

2つ目は、モバイル中心にWebex Callingを導入し、既存PBXは内線化するパターンだ。「将来的にはフルクラウドへの完全移行を検討しているものの、いきなりの実施は難しい場合、このパターンから始めることをお勧めします」と泰道氏。既存PBXとの内線連携も可能なため、一部の部署でWebex Callingを先行導入しながら、既存PBXの更新のタイミングで完全移行するといった柔軟な導入が可能となる。

3つ目は、用途を限定してWebex Callingを導入するパターン。既存PBXは内線化せず、テレワーク時や災害・感染症といったBCP対策など、必要に応じて外線利用に対応するもので、急に内線電話が必要になった場合も迅速に付与できる。

「ある公共団体では、在宅勤務制度を進めていく中で、『コストを抑えつつ、自宅からも外線で発着信をできるようにしたい』との要望をいただいたため、まずは個人所有のモバイルを中心にWebex Callingを導入しました。BYOD利用時も通話料は自治体への請求となるため、職員の皆様は安心してテレワークができるようになったそうです。部課レベルから導入するスモールスタートにも最適なパターンと言えるでしょう」

自治体にとって、市外局番から始まる固定電話番号は、市民をはじめ関連機関、民間事業者などからの信頼に大きく関わる。庁舎の電話番号を使ってどこからでも業務継続を可能とし、新しい働き方にも対応したWebex Callingは、他のサービスに比べさまざまな点で優位性があると言えそうだ。

 

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