観光から始まるまちづくり 価値を生む創造的都市の魅力

国際観光施設協会が提唱する、観光を起点に都市の創造性を向上させる観光型スマートシティ『LINKED CITY』構想。実現に向け、SC企画・十勝CD・アーキネティクスの3社がLINKED CITY Lab(仮)を立ち上げる。

観光型スマートシティLINKED CITY

国際観光施設協会 旅館観光地分科会が提唱した観光型スマートシティ『LINKED CITY構想』。地域の宿泊施設を起点に街中の施設や人、イベントをテクノロジーの力で結びつけ、観光を通じた街の活性化を目指す取り組みだ。観光に付随するモビリティや医療・教育などもテクノロジーでつなぐこの構想はスマートなまちづくりにもつながる。こうした背景から〈スマートシティ研究会〉が組成され、本研究会にスマートシティ企画(SC企画)、十勝シティデザイン(十勝CD)、アーキネティクス、ソニーマーケティング、ジョルダン、ジョルテ等の企業群が参加して構想を練り上げた。

AI/IoTを活用、新たな観光を実践

十勝CDが北海道・帯広市で運営するHOTEL NUPKAは、ホテルが持つ交流促進機能とAI/IoTソリューションを融合し、帯広の中心市街地全体を一つのホテル空間と見立てる「まちやど」の考え方で観光型スマートシティの取組を主導する。LINKED CITY構想の実践を先行して進める十勝CDの柏尾氏は「HOTEL NUPKAは旅行者や地元の人が交流しあい、新しいアイディアや取組みが生まれる場となっている。HOTEL NUPKAで得られた観光型スマートシティの考え方、ノウハウを全国に広め、地方から、国のあり方を変えたい」と語る。

柏尾 哲哉 十勝シティデザイン 創業者

アプリを通じ、意識変化・行動変容を起こす

HOTEL NUPKAの構想を支援するアーキネティクスの吹田氏は「宿泊者が街に新たな文化や価値観を持ち込み、その化学反応をきっかけに街が起動し出す。それがホテルアーバニズムの思想」と語る。街の中でアイディアのパス廻しを盛んにし、街の集合知を高めるという考え方だ。同社はこれを加速させる『地域の共創支援アプリ/NeighborHEADS』を提供し、街の中でアイディアの“異花受粉”を促進し、街の創造界隈化を目指す。

吹田 良平 アーキネティクス 代表取締役、『MEZZANINE』編集長

創造的な都市を増やす

SC企画は「HOTEL NUPKAのホテルアーバニズム・観光型スマートシティモデル」「地域の共創支援アプリ/NeighborHEADS」「連携企業のAI&IoTソリューション群」の導入展開を支援するチームとしてLINKED CITY Lab(仮)を組成し、牽引していく。同社の石垣氏は「多くの企業が集まっても同床異夢になることが多いが、このチームは個人的にやりたいことがあるから希望がある。野心がある人たちとつながることが創造的な都市への第一歩」と語る。創造的な都市とは、モノやコトの価値創造を担う起業家精神を持った老若男女が挑戦し合う、米国・ポートランドのような街を指す。SC企画では、スマートシティ領域で10年以上にわたりコンサルティングを展開してきた経験をふまえて「インフラ維持・効率化など、社会課題解決のためのソリューション導入が先行するスマートシティではなく、ポートランドのような人間中心の創造的な都市形成を目指すなら、まずは相談してほしい」と話す。

石垣 祥次郎 スマートシティ企画 取締役

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