遠隔医療、生産性向上etc. 社会課題解決型の起業家が受賞

起業家を表彰するJapan Venture Awards。2021年は、ロボットや再生医療ベンチャーの創業者を表彰した。コロナ感染が収まらない中、社会課題への取組に注目が集まる。

独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)は、2021年3月1日、「Japan Venture Awards(JVA)2021」の受賞者を発表した。Japan Venture Awardsは、新事業創出や市場開拓に挑むベンチャー企業の経営者の表彰を通じて、社会における起業家精神を醸成すること目的としたものだ。経済産業大臣賞、科学技術政策担当大臣賞、JVA審査委員会特別賞、中小機構理事長賞、中小企業庁長官賞、ベンチャーキャピタリスト奨励賞を合わせて13人が受賞した。

経済産業大臣賞はGROOVE X(東京都中央区)代表取締役社長の林要氏に授与された。GROOVE Xはペット型ロボット「LOVOT」を開発・販売している企業だ。「このロボットと暮らすことで、人のやさしさを引き出すことができます」と林氏は説明した。

内閣府特命担当大臣(科学技術政策担当)賞は慶應義塾大学発ベンチャーHeartseed(東京都新宿区)代表取締役CEOの福田恵一氏に贈られた。同氏は、医師・研究者としてヒト培養細胞を利用した重症心不全の治療法の開発に取り組んでおり、2021年に臨床応用を開始するための準備を進めているという。

科技大臣賞を受賞したHeartseed代表取締役CEOの福田 恵一氏

社会課題解決ビジネスで起業

今回の表彰は、生産性の向上や環境対策など、社会の課題解決に取り組むビジネスを手掛ける起業家が目立った。中小企業庁長官賞は、AIを活用して企業の顧客対応の効率化を進めるRevComm代表取締役の會田武史氏、遠隔診療に取り組むアルム代表取締役社長の坂野哲平氏が獲得した。中小機構理事長賞は、キャスター(宮崎市)代表取締役の中川翔太氏、オープンロジ(東京都豊島区)代表取締役社長CEOの伊藤秀嗣氏に授与された。キャスターは、社員のリモートワークを前提としたビジネスモデルで企業の事務作業を請け負う。オープンロジはネット通販の物流を効率化する物流フルフィルメントサービスを提供している企業だ。

JVA審査委員会特別賞はクラダシ(東京都品川区)代表取締役社長の関藤竜也氏、unerry(東京都千代田区)代表取締役CEOの内山英俊氏、エレファンテック(東京都中央区)代表取締役の清水信哉氏に授与された。クラダシはフードロスの回避、unerryは位置情報を用いた「密」の把握、エレファンテックは環境負荷の低い電子回路・基板の生産に取り組んでいる。創業5年以内の経営者に贈られるJVCA特別奨励賞はシングルセルゲノム解析技術を提供しているbitBiome(東京都新宿区)代表取締役社長CEOの藤岡直氏が受賞した。

今回の表彰の審査委員長を務めた早稲田大学大学院経営管理研究科(早稲田大学ビジネススクール)教授の東出浩教氏は、「応募者のレベルが年々上がっており喜ばしいです。研究・テクノロジーから商品化・マーケティングまで一気通貫で取り組むベンチャー企業が普通になりました。また、起業時から世界展開を視野に入れている企業も増えています。受賞者には、他人には見えにくいベンチャー経営のノウハウの部分を将来に伝えていってほしい」と講評した。

お問い合わせ


独立行政法人中小企業基盤整備機構
創業・ベンチャー支援部創業・ベンチャー支援課
Tel:03-6459-0732(9:30 ~ 18:00)
https://j-venture.smrj.go.jp/index.html

この記事に関するお問い合わせは以下のフォームより送信してください。